【日本市況】円が上昇、日銀は利上げ決定-債券下落し株下げ転換場面

24日の日本市場では円が対ドルで155円台前半に上昇。日本銀行はこの日の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決定するとともに、物価見通しを上方修正した。債券は先物が下げ幅を広げ、株式は下落に転じる場面がある。

関連記事:日銀が昨年7月以来の利上げ、17年ぶり0.5%に-緩和調整を継続へ

日銀は政策金利を17年ぶりの高水準となる0.5%程度に引き上げることを決めた。金利スワップ市場では9割以上の確率で利上げを織り込んでいたため、市場では予想通りと受け止められている。一方、同時に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の2025年度見通しを前年比2.4%上昇と、従来の1.9%から大幅に上方修正した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、次の利上げのメインシナリオは10月だとした上で、春闘や企業の価格設定スタンス次第で7月の可能性もあると指摘。展望リポートでは昨年10月の海外経済や金融資本市場の動向が経済・物価の見通しなどに及ぼす影響についての記述がなくなり、植田和男総裁が米国経済や金融市場動向について自信を深めていることの表れだとみている。

市場の焦点は次の利上げの時期に移り、午後3時半から行われる植田総裁の記者会見が注目される。

  • 国内為替・債券・株式相場の動き-午後1時39分現在円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.6%高の155円15銭
  • 長期国債先物3月物は前日比25銭安の140円68銭に下落
  • 新発10年債利回りは2.5ベーシスポイント(bp)高い1.23%
  • 東証株価指数(TOPIX)はほぼ横ばいの2751.62
  • 日経平均株価は0.1%安の3万9932円23銭

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=155円台半ばに上昇。日銀はこの日の会合で市場の予想通り政策金利を0.5%に引き上げることを決定。声明文や展望リポートの内容が今後の利上げに前向きと受け止められ、円買いが優勢になっている。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、今回の日銀利上げ決定について、声明文や展望リポートなどの内容は全体的に見て「マイルドなタカ派だ」と指摘。今回の利上げ後も中立金利までまだ距離があると判断している印象で、「次の0.75%で中立とは考えておらず、1%台に向けた期待を高めるコミュニケーションになっている」との見方を示した。

債券

債券相場は下落。日銀の物価見通しの上振れを受けてさらなる利上げや植田総裁の記者会見に対する警戒から売りが優勢だ。新発5年債利回りは08年以来の高水準を付けた。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、日銀による物価見通しの上方修正を受けて次の0.75%への利上げが意識されており、先物中心に売られていると述べた。「物価見通しではコアも2%を下回らない見通しになった。リスクバランスを見てもそれなりに物価目標達成の確度に変化が見える」とし、次の利上げのタイミングに向けて、植田総裁のタカ派的な発言を警戒しているようだとした。

株式

東京株式相場は失速し、下落に転じる場面がある。日銀が追加利上げを決めて為替が円高に振れたことを嫌気して自動車や銀行株が売られている。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは日銀会合について、物価見通しを中心にタカ派的だとし、為替の円高進行を受けて植田総裁の記者会見前にも株価を下押しする展開もあると話していた。

MCPアセット・マネジメント・ジャパンの大塚理恵子ストラテジストは、銀行株の下落について、利上げは事前に織り込んでおり、いったん利益確定売りが出たと述べた。一方、不動産株の堅調は悪材料の出尽くしで下値を拾う動きではないかとみている。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

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