今、インターネット上に拡散されているある動画が物議を醸しています。
動画には、薬局の棚に置かれた「かんせ」という商品を女性がかごに入れ、レジへ進んでいく様子や、さらに渋谷のスクランブル交差点にある大型ビジョンの映像には商品の広告が。
しかし、実はこの広告は偽物なんです。
13日のテーマは「日本での販売を装う“フェイク広告”」ソレってどうなの?です。
問題の動画を見てみると、関節痛などの薬が置かれている薬局の棚に置いてあるのは「かんせ」と書かれた商品です。
買い物かごの風邪薬や頭痛薬などと一緒に、レジへと進んでいきました。
レジの店員の胸元には、日本大手のドラッグストア「スギ薬局」のスギグループと書かれています。
一方で、こんな画像も。
ビックカメラの店内に貼られた広告なんですが、アルファベットで「Kanse-tsu」と書かれ、値段が書かれています。
街の皆さんに、この商品を見たことありますか聞くと、「見たことないです」「ないです。かんせげ?かんせした?なにこれ」と答えてくれました。
それもそのはずです。
スギグループは「イット!」の取材に対し、「当該の商品は販売していない」と答えているんです。
一体どういうことなんでしょうか。
ITジャーナリストの三上洋さんは、これらは日本で販売しているように見せるフェイク広告だと断言します。
ITジャーナリスト・三上洋さん:
巧妙にAI(人工知能)の技術や偽商品を現場に持ち込んで、さも売っているように見せかけているだますための動画。
なぜそう言い切れるのでしょうか。
ITジャーナリスト・三上洋さん:
便秘薬の赤いやつは透けている。でも「かんせ」の棚は、半透明の部分が全然透けていない。これは明らかな画像生成。もしくは画像加工のミス。
不自然なところは、販売元のホームページでも確認できました。
韓国語の下に書かれていたのは、「ついにかんせつが韓国の公式モールを立ち上げましたー!」。
ところが、よく見ますと男性の指が1本ありません。
商品名の表記もパッケージと一致せず。
しかし、商品レビューは星5の最高評価が目立ち「肩や膝の関節痛に効いた」といったコメントがいくつも書き込まれていました。
――このようなフェイク広告がなぜ、出回ってしまうのでしょうか。
ITジャーナリスト・三上洋さん:
日本製の品物は、中国や韓国で信頼度が高くとても人気。例えば薬、化粧品、サプリメントなどで日本製と、日本で人気というブランドで売ることがよく行われている。日本は高齢者大国なので、そこで評価されている関節に効く薬と称して中国や韓国の高齢者に売ろうということ。
街の人に、日本製のものが海外で人気と聞くと買いたくなるか聞いてみると「ちょうど韓国のものとか見たりしている検討はします」「遠いところではやっていることに共感というか、人気というのが身近ではない。それでだまされる人もいるかもしれない」と話してくれました。
厚生労働省も一般論として、このようなフェイク広告に対し「他の薬の中に並んでいるかのように見せていて、医薬品と誤認をさせてしまうのであれば間違いなく不適切。健康被害があってもおかしくないため、怪しいものには手を出さないでほしい」と注意を促しています。
商品を販売している会社に問い合わせましたが、返答はありませんでした。
スギグループは、YouTubeやインスタグラムなどで出回っているフェイク広告に対し、差し止め要求をしたといいます。
専門家は今後、“海外で人気”といった実態のないフェイク広告が増えるかもしれないと指摘します。