兵庫県知事選挙での斎藤知事陣営のSNS運用を巡って、公職選挙法違反の疑いで、斎藤知事とPR会社社長が刑事告発されたことを巡り、兵庫県警などがPR会社の関係先などを捜索しました。 このニュースについて、若狭勝弁護士と詳しく見ていきます。 2024年12月、大学教授らが斎藤知事とPR会社女性代表を公職選挙法違反にあたる可能性があるとして刑事告発しました。 捜査関係者によりますと、PR会社側に任意で資料を提出するよう要請したものの、十分に応じなかったことなどから強制捜査に踏み切ったということです。 青井実キャスター: このタイミングはどう見ますか? 若狭勝弁護士: 昨年12月に告発が出されて、その後、告発を受理した。この時期の捜索というのは流れとしては、決して早くもなく遅くもないということだと思います。ただ今回の捜索が、本当の目的が何なのかということによって違ってはくると思います。 改めてこの問題を整理していきます。 まずは経緯を振り返ります。 2024年11月に兵庫県知事選があり、斎藤知事が再選しました。 その選挙が終わったあとにPR会社の代表がインターネットにコラムを書き、SNSの運用やアカウントの立ち上げなど「広報全般を任せていただいた」といった文面をインターネットに投稿しまた。 ただそのあと、斎藤知事側はSNS運用などは斎藤陣営が主体にやっていたたため、金銭の支払いはあくまでも「ポスター製作費などで71万5000円支払った」「(PR会社の代表は)ボランティアで参加された認識」を持っているということでした。 そんな中で2月7日に家宅捜索が入り、斎藤元彦知事は午後1時過ぎ、取材に応じ、「公職選挙法に違反していない認識に変わりはない」「警察が必要な捜査や対応をしていると受け止め」「捜査に全面的な協力していくということに変わりない」としています。 青井実キャスター: 認識に変わりないということですが、この発言はどう捉えますか? 若狭勝弁護士: 当然そのように言うと思います。ここで「捜索を受けたから今まで言っていたこととは違って」とは絶対言えないので、実際どうであれ、少なくとも今まで言っていたことをこの時期に言うということはごくごく自然、当たり前だと思います。 ポイントとなるのは約70万円の認識。 告発内容を詳しく見ていきます。 告発があったのが2024年12月で、「SNSの運用・広報企画など選挙運動への報酬にあたり、これは選挙運動の『買収』」そして、「SNS戦略など全般的に依頼されているものに疑いはない」という指摘。 一方で斎藤知事側は、「あくまでもボランティアで、「無償」で個人として行っているもの」としています。 青井実キャスター: この辺りがポイントでしょうが、どうやって調べていくんでしょうか? 若狭勝弁護士: まず前提として、一番頭に入れておかなきゃいけないのが、彼女が選挙運動をしていたのかどうか。選挙運動をしているかどうかというのは、特定の公社、この場合、斎藤さんですが、斎藤さんのためにいろいろと主体的、裁量的に動いていたかどうか、ここは大事なんです。私も選挙に出る時にポスターを印刷してもらいますが、普通の印刷業者というのは、誰が頼もうと、他の候補者が来ても断らないで、みんなすべからく「仕事ですから」と言うんですが、その場合は特定の候補者のためにやっていることじゃないため、これは選挙運動ではないと。特定の候補者を当選させるために、そこにいいポスターを作ってあげたり、いろいろとSNS活動を全般的にやってあげたりしているとなると、この“当選させるために”ということだから「選挙運動」という立て付けができる。選挙運動という立て付けができると、そこにお金の授受があると、今の選挙実務ではほぼ選挙違反なんです。買収になるんです。だから71万いくらが動いたとして、それは前提として選挙運動を彼女がしていたかどうか。運動者だということだとすると、その内訳がどうのこうのというよりも、今の総務省とか選挙実務、警察の実務からすると、これは選挙違反の可能性が結構あるよね、疑いがあるねという話になっていくという。 SPキャスター・中村竜太郎氏: 質問があるのですが、どこまで検察が今回本気なのかということが1つ。家宅捜索に入って証拠って大事じゃないですか、その場合、今メールのやり取りが証拠になり得ると思いますが、削除したり、ごみ箱に入れたようなものも、それも起こして捜査するということですか? 若狭勝弁護士: デジタル・フォレンジックという手法で、削除したものを復活させるというのは最近の捜査の常道みたいな形ですから。今回も本気でやるとしたら、そこをやっていないといけないという話になると思います。検察がどの程度本気かというのは、今日の捜索が「合同」だといっていますが、検察からどの程度の人員が投入されているか。形だけの合同なのか、そうじゃなくて検察もかなりの人数を投入しているのか、その辺が鍵だと思います。 青井実キャスター: 先ほど、冒頭でおっしゃった「目的」ということにもつながってきますか? 若狭勝弁護士: 1月下旬に告発者、今回の大学教授らが、女性社長の寛大処分を求めるという上申書を兵庫県警などに出しているんです。普通はあり得ないんです、告発者が女性社長を寛大というのは。場合によっては、女性社長がすでに相当警察や何かに協力をしている。だから告発者が「寛大に」と言っているという流れが1つは考えられるんです。そうすると今回の捜索というのは、彼女が資料提供を拒んでいるから捜索に入ったわけではないという可能性があると。検察当局者は捜索に入ると、なるべくトーンダウンさせるんです。捜索に入ったというと一気にヒートアップするので。そういうようなことで、捜査関係者が言っていることはある意味話半分。私の経験からしても、話半分に聞いた方がいいと思います。
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