ネリとの試合後、リングに上がり井上尚(右)と握手を交わすグッドマン(2024年5月撮影)
プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)への挑戦チャンスを逃したIBF、WBO世界同級1位サム・グッドマン(26=オーストラリア)は2度にわたる左目上裂傷からの再起を目指す。昨年12月14日の公開スパーリングで4針を縫うカット、そして年明け1月11日に実戦練習中に再び同部を切り、実に14針を縫う深い傷を負った。
母国メディアのFOXスポーツ・オーストラリアでは試合辞退後のグッドマンの近況が報じられている。IBF、WBOからはランキング1位を維持される見込みで、陣営は5月下旬~6月上旬の試合復帰を目指しているという。100万ドル(約1億5500万円)を超える高額報酬を得られることを想定し、家を購入したと伝えられた。グッドマンがショックのあまり、現役引退を示唆するほど失望感が漂っていたそうだ。
グッドマン陣営は左目上裂傷回復後、即座の井上への挑戦を希望している。しかし井上にはWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との団体内統一戦をはじめ、WBC世界同級1位アラン・ピカソ(メキシコ)との指名試合もありそうだ。今春、21年6月以来となる米国再進出を計画。サウジアラビア政府直轄のプロジェクト「リヤド・シーズン」で推定総額30億円というスポンサー契約を結んでおり、同国からも試合オファーが届く。
井上は「けがでランキングも落ちないと聞いている。どこかで戦わないといけないと思っているが(所属ジム)大橋(秀行)会長にすべて任せている」と見解を示す。大橋会長はグッドマンがランキング1位を維持することを条件に「傷を治してもらい、チャンスがあったら戦いたいと思います」と説明する。
もともと同会長は「25年、26年に大きな野望がある」と話している。グッドマンの試合復帰まで6カ月ほど必要とされており、そこまでランキング1位を維持できるかは不明だ。井上がグッドマンと戦うチャンスはすぐには来ないとも考えられる。
22日にグッドマンはSNSを更新。公式インスタグラムを通じ、現在の心境をつづった。「9回倒れたも10回立ち上がる」「私は少し時間をかけて100%癒やす」「私は逃げも隠れもしない」などと完全復活を誓った。IBF、WBOスーパーバンタム級の指名挑戦者の立場を維持し、モンスターへの挑戦を仕切り直そうとしている。