日米首脳会談に臨む石破首相とトランプ大統領=ホワイトハウスで2025年2月7日、ロイター
「米国大統領が国際秩序のリスク」という時代を我々は生きている。2期目のトランプ大統領は就任直後から関税をてこに各国に譲歩を迫り、グリーンランドやパナマ運河の領有、パレスチナ自治区ガザ地区の「所有」を主張するなど、19世紀のような帝国主義的言動を繰り返す。米国内でも対立派を標的とする逆流を巻き起こし、毛沢東が発動した文化大革命を思い起こさせる。
その乱世をかきまわす人物との、注目の首脳会談だった。石破茂首相をはじめとする日本政府は議題を日米関係に限定するよう腐心した。米側実務者との事前調整も奏功し、会談では尖閣諸島や台湾海峡の安定、北朝鮮の非核化をトランプ氏とも確認できた。日本の防衛費や関税に関し、トランプ氏が具体的なパーセンテージに言及するような事態も避けられた。
一方でウクライナやガザ、グリーンランドやパナマを巡るトランプ氏の発言などは議題にならず、共同声明でも触れられていない。ドイツやフランスといった欧州主要国が批判やけん制の声明を出す中、日本の首相がトランプ氏と直接会談したにもかかわらず、懸念を示さない形となった。
ただ、…