約8か月で8件…赤穂市民病院の医療事故「モチーフ」のウェブ漫画、作者は「被害者の親族」だった

   ブログで連載されている漫画「脳外科医 竹田くん」の作者が2025年2月6日、赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)で19年9月から20年2月の間に起きた医療事故のうちの1件の被害者の親族だと明かした。そのうえで、漫画の制作に至るまでの思いを伝えた。

  • 「脳外科医 竹田くん」X(@dr_takeda)より

「医療事故事件と病院内のトラブルをモチーフに」

   赤穂市民病院をめぐっては、報道によると、ある1人の医師が関わった手術で、19年9月から約8か月で8件の医療事故が発生。病院側の検証や対応遅れなども問題となった。この医師は、20年1月の手術で適切な止血を行わず、女性患者に両足のまひなど重度の後遺障害を負わせたとして、24年7月に業務上過失致傷の疑いで書類送検、12月に在宅起訴されたことが報じられている。なお、医師は21年8月に依願退職しているという。

   24年11月19日にはNHK「クローズアップ現代」でもこの問題が取り上げられ、大きな話題になった。

   ウェブ漫画「脳外科医 竹田くん」は、23年1月にブログで連載が始まった。「あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語」との副題の通り、次々とミスを繰り返す脳外科医「竹田くん」とその周囲を描く。

   25年2月6日の声明で、作者は「赤穂市民病院 脳神経外科で2019年から2020年にかけて複数発生した医療事故のうち、2020年1月22日に起きた医療過誤の被害者の親族です」と明かす。

   作品について、「この漫画自体はフィクション(架空世界で展開される物語)ではあるものの、医療事故、及び医療事故にまつわるエピソードは、赤穂市民病院の医療事故事件と病院内のトラブルをモチーフにしています」と明言。「実際の医療事故を重く見せる目的での誇張や改変」や「特定の人物を殊更に悪者に仕立て上げるなどといった悪意のある脚色や誇張」は一切行っていないとした。

   今回の声明を発表した理由について、「制作の意図などについて事実と異なる憶測が生じることがないよう、漫画作者としての思いを読者の皆さまにご説明させていただきたい」と考えたと説明した。

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   続けて作者は、漫画制作の経緯を説明。一連の医療事故についての病院の対応などを見て、「真相が究明されないまま事件の記憶が風化すれば、また新たな犠牲者が生まれてしまうのではないか」と強い危機感を覚え、「どうにかしてこの問題を社会に伝えたい」と考えたという。それには当時は公表されていなかった内情を伝える必要があったが、そのまま伝えることにはリスクがあると感じ、フィクションという形を選んだとした。

   さらに、「自分が竹田くんのモデルである」として発信者情報開示請求の申し立てがあったこと明かした。情報が開示されたが、「損害賠償請求訴訟等の法的措置はとられておりません」とした。

   そのうえで、

「今後、一連の医療事故に関わった医師から、漫画の表現について刑事告訴や訴訟提起が行われることがあったとしても、堂々と公益性を主張し、粛々と対応してまいりたいと考えております」

と表明した。

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