ライター: 渡部壮大 更新: 2025年02月04日
第1局に続き難解な戦いとなった王将戦七番勝負ですが、藤井聡太王将が技術の高さを見せて2連勝。9割近い勝率で勝ちまくる服部慎一郎六段ですが、年間勝率記録の更新はなるでしょうか。
第74期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局
【第1図は▲3四飛まで】
第1図は第74期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局(▲藤井聡太王将△永瀬拓矢九段)。横歩取りから超難解な局面を迎えています。ここで後手の永瀬九段は約2時間半の大長考でじっと△1四歩と突きました。「手のない時には端歩を突け」とは言いますが、間合いを図って先手が指した手に対応する狙いです。以下も難しい戦いが続きましたが、徐々に藤井王将が抜け出し、最後は鮮やかな寄せを見せています。
写真:飛龍
第83期順位戦A級
【第2図は▲1五同歩まで】
第2図は第83期順位戦A級(▲稲葉陽八段△増田康宏八段)。中飛車対急戦で居飛車がリードを奪いました。△4四馬が「馬は自陣に引け」の一着。自玉周辺を強化しながら、端攻めを見た絶品の馬引きです。先手は▲2六銀と粘りの姿勢を見せましたが、△2四香と調子よく手が続きます。勝った増田八段は3敗を守り、挑戦争いに残りました。
写真:生姜
第83期順位戦B級1組
【第3図は▲6五銀まで】
第3図は第83期順位戦B級1組(▲澤田真吾七段△近藤誠也七段)。後手はどう攻めを続けていくかの中盤戦です。△5四桂が「桂は控えて打て」の力を溜めた手。△6七桂成~△6六歩を見せながら、場合によっては△4六桂も見ています。以下▲5六歩△6七桂成▲同歩△6六歩で、後手が攻勢を続けました。以下も熱戦が続き、結果は最終盤の競り合いで先手が逆転勝ち。近藤七段は敗れたものの、他局の結果で初のA級、八段昇段が決まっています。
写真:生姜
第18回朝日杯将棋オープン戦本戦
【第4図は△4四歩まで】
第4図は第18回朝日杯将棋オープン戦本戦(▲服部慎一郎六段△藤井聡太竜王・名人)。破竹の勢いで勝ちまくる服部六段が第一人者に挑んだ一戦です。▲7九玉が「玉の早逃げ八手の得」で、△5八銀打の筋を受けながら玉を安定させました。以下△6三玉▲4四歩△1三角に▲8八玉で自玉は万全。この後も攻め続けて先手が押し切りました。服部六段は最強の相手も撃破し、年間勝率記録の更新に迫ります。
写真:武蔵
棋士編入試験五番勝負第5局
【第5図は△8七歩まで】
第5図は棋士編入試験五番勝負第5局(▲柵木幹太四段△西山朋佳女流三冠)。居飛車が優位に進めていましたが、振り飛車もうまく玉頭戦に持ち込んで勝負形です。△8七歩は部分的には厳しい攻めですが、構わず▲8三歩△同金▲7五桂が「終盤は駒の損得より速度」の好判断。△8八歩成▲同玉で角は取られても先手玉は一瞬寄りにくい形をしています。以下も的確に攻めて先手が制勝。五番勝負は西山女流三冠の2勝3敗となり、初の女性棋士誕生とはなりませんでした。
写真:飛龍
ライター渡部壮大
高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。 将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
監修高崎一生七段
棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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