「スーパーバンタムの体も完成に近づいている」井上尚弥が過去最強ボディーで現役単独最多の世界戦24勝へ…24日4団体防衛戦|au Webポータル

◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一戦12回戦 統一王者・井上尚弥―WBO世界同級11位・金芸俊(24日、東京・有明アリーナ)

世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥が23日、横浜市内で防衛戦(24日・有明アリーナ)の前日計量に臨み、挑戦者のWBO同級11位・金芸俊(キム・イェジュン)とともにリミットより100グラム軽い55・2キロで一発パスした。当初対戦予定だったサム・グッドマン(26)=オーストラリア=の負傷で1か月延期となり、ゴング13日前に挑戦者が変更となった異例の防衛戦。現役単独最多となる世界戦通算24勝目を挙げて、世界進出の足がかりとする。

最強王者の存在感が、挑戦者を圧倒した。計量後のフェースオフ。尚弥は緊張感に満ちた表情をほどんど変えないまま約13秒にらみ合うと、先に視線を外した。両腕に世界4団体のチャンピオンベルトを抱え、上半身には米専門誌「ザ・リング」が最強と認めた王者(現在は計8人)にのみ授与するリング誌ベルトが巻かれていた。ベルトの輝きが、金芸俊の内に潜む気迫を打ち砕いた。

「いよいよだなと。正直、かなり楽しみな心境ですね」。グッドマンの負傷による試合の1か月延期、挑戦者の変更も重なり「ちょっと待ち遠しいという気持ちもある」と本音もこぼれた。スーパーバンタム級での5試合目。「少しずつだが体もデカくなっている。スーパーバンタムの体も完成に近づいているなと感じる」。万全の調整で、過去最強の肉体をつくり上げた。

勝てば世界戦通算24勝目で、現役単独最多となる。KO勝利なら自身の持つ世界戦連続KO勝利の日本記録も大台の「10」となる。「韓国版ロッキー」(大橋秀行会長)として下克上に挑んでくる代役挑戦者に対し、尚弥も「あきらめることなく向かってきてくれるのでは」と激闘を歓迎する余裕も見せた。

昨年11月、サウジアラビア国営の国際娯楽イベント「リヤド・シーズン」と総額30億円(推定)のスポンサー契約を結んだ。金戦からトランクスに「リヤド・シーズン」のロゴを入れて戦う。イベントを手がける同国総合娯楽庁トゥルキ・アル・シェイク長官が買収を発表したリング誌のベルトをフェースオフに持ち込んだのも異例のことだった。「落とせない契約1戦目。気負いなく自分を信じてやるだけ。ラスベガスとサウジアラビアでの試合を両立していければと思っている。もちろん明日の試合が一番大事。その後のボクシングキャリアも楽しみにしていきたい」。25年初戦をクリアし、世界へと羽ばたく。(勝田 成紀)

◆リヤド・シーズン サウジアラビアが国を挙げて取り組む一大娯楽プロジェクト。2019年にスタートし、毎年10月から3月まで約5か月間、音楽やスポーツのイベントが開催される。昨年10月の開幕イベントでは、アルトゥール・ベテルビエフ(カナダ)VSドミトリー・ビボル(ロシア)の世界ライトヘビー級4団体統一戦をメインにしたボクシング興行が行われた。

◆尚弥の次戦以降は? 井上がプロモート契約を結ぶトップランク社のボブ・アラムCEO(93)は22日に「日時は決まっていないが、25年に米ラスベガスで試合を組む。最大級の会場を用意する」と明言。4月か5月にラスベガスでWBCスーパーバンタム級1位アラン・ピカソ(24)=メキシコ=との対戦が実現する可能性が高い。尚弥も「今年はアメリカ、そしてサウジと、また海外進出になる」と話しており、今年の秋か冬にサウジアラビアでWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=との統一戦が有力だ。

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