「女性版ゴーン」異名、女子医大・岩本絹子元理事長 ワンマン経営、大学私物化か

警視庁捜査2課が13日、背任容疑で逮捕に踏み切った東京女子医大の元理事長、岩本絹子容疑者(78)は「1強体制」ともいわれる絶大な権力を背景に公私混同の経営を長年続けてきたとされる。名門医大を巡る混乱は元トップの刑事事件に発展したが、大学を巡る不透明な資金の流れはどこまで解明されるのか。捜査に注目が集まる。(外崎晃彦)

大学関係者などによると、岩本容疑者が同大の中で頭角を現したのは平成25年。同窓会組織「至誠会」の会長に就任したころからとされる。至誠会は、傘下に「至誠会第二病院」などの医療機関も擁し、女子医大の運営にも大きな影響力を持つ組織という。

プロポフォール事件後、副理事長就任

東京女子医大では26年に入院患者の2歳男児に鎮静剤プロポフォールを過剰に投与して死なせる医療事故が発生。信頼を大きく失い、患者離れが起きた中で、経営面の立て直しを一任される形で副理事長に就任したのが岩本容疑者だった。

岩本容疑者の経営手腕は際立っていた。経営責任を担う「経営統括理事」も担い、人材や医療設備の削減などコストカットを徹底。大学病院の赤字は黒字に転じた。「女性版カルロス・ゴーン」との異名を取り、職員から恐れられる存在になっていったという。

31年4月に理事長に就任すると、それまで「トロイカ体制」として、教育・研究、病院・臨床、法人経営の3役がそれぞれ独立していた分業・指示系統を廃止。岩本容疑者が一手に担うようになり、「事実上のワンマン経営者として君臨し、大学を私物化するようになった」(関係者)という。

3年で1000人、大量の人材流出

一方で、事業の統廃合など、医療現場の実情に見合わない過剰な削減も目立ったことから職員らが離反。大量の人材流出を招いた。大学や病院の教職員数は令和2年度の約6800人(研修医含む)から3年間で約千人減少。病床使用率も落ち込んだ。

大学が設けた第三者委員会は、岩本容疑者に権限が集中する「1強体制」に問題があり、大学がガバナンス(組織統治)不全だったと認定。抜本的な改革が必要だとした。

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