写真撮影に臨む(左から)直木賞に選ばれた伊与原新さん、芥川賞に選ばれた鈴木結生さん、安堂ホセさん=15日午後、東京都千代田区(斉藤佳憲撮影)
北海道や徳島など地方で継承されてきた人々の営みを、科学の視点を通して物語る短編集「藍を継ぐ海」で第172回直木賞に選ばれた伊予原新さん(52)が15日夜、東京都内で記者会見を行った。インスピレーションの源が科学研究の世界にあるといい、「科学ですけど、面白いので読んでみてという気持ちでいます」などと話した。 一問一答は以下の通り。 --今の気持ちは 「くすぶっていた地球科学研究者だった自分が、ひょんなことから小説を書き始めて、こんなところにきてしまった。不思議な気持ちです」 --小説で科学を扱う難しさは 「科学的な事実そのものよりは、人間的なところをきちんと描くと科学的な事実も色鮮やかに読み取っていただくことが多いということを最近は考えています。科学的な記述部分をどのようにしたら飽きずに読み飛ばさずに読者を引っ張り続けられるか。前作、前々作の短編集でもずっとやってきたことなので、完全ではないですけど、少しずつ上達していると思う」 --表題作の「藍を継ぐ海」で徳島県を舞台にウミガメを題材にした小説を書いた理由は 「研究者時代から、地磁気を利用して生きている動物に興味があった。ウミガメは取り上げたことがなかったので興味があったのと、身近に産卵を見ることができて、われわれ日本人が身近に見守ることができる動物で、書きがいがある。そんなことを考えました」 --研究をやめて小説を書くことにしたのは、科学を専門家以外にも届けたいからか 「ミステリー作家になりたくて書き始めた。せっかく研究の世界にいたのだから、科学研究を舞台にしたものが強味ではないかと編集者の皆さんから言われて題材にすることが多くなって、インスピレーションの源が科学研究の世界にあることに自分でも気が付いてきました」 --デビューから15年、書き続けて感慨はあるか 「あきらめずにやってきてよかった。簡単にはいかない。本は出していただいているけれど、なかなか注目されることもない。何とか次の一作、次の一作と書いていったら、こういう結果をいただけた」 --どんな方に読んでもらいたいか
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