昨日のBTC相場は高値圏での乱高下。
朝方10.6万ドル(約1675万円)台に上値を伸ばしたがダブルトップを形成し急落。10万ドル(約1580万円)割れで切り返し、ダブルトップのネックラインをブレークすると昨年末の史上最高値を更新し11万ドルに迫ったが、結局10万ドル台に失速した。
BTCはバイデン政権による大口売り懸念が払しょく、トランプ政権誕生への期待感から土曜日早朝に10.5万ドル台まで値を戻した。その後10.2万ドル台に値を落としたが、金曜日にトランプ氏が発行したミームコインTRUMPが2日足らずのうちに時価総額を150億ドルに伸ばすという衝撃のデビューを果たし、使用チェーンであるソラナ(SOL)が史上最高値を更新する中、日曜日にはBTCは10.5万ドル台に値を戻した。
更にマイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長が追加購入を仄めかしたことで10.6万ドル台に値を伸ばした。
しかし、メラニア夫人を模したミームコインMELANIAが紹介されるとTRUMPが失速し、BTCは10.2万ドルをネックラインとするダブルトップを形成、10万ドル割れに急落した。
午後に入りTRUMPが反発し始めるとBTCもじりじりと値を戻し、ダブルトップのネックラインを上抜けると急騰、一気に史上最高値を更新し、10.9万ドル台まで上値を伸ばした。
しかし、TRUMPやMELANIAの上昇が一服するとBTCも上値を重くし、トランプ政権誕生待ちの展開となった。
注目の指名受諾演説ではメキシコ国境の非常事態宣言や原油価格引き下げのためのエネルギー非常事態宣言など重要政策が語られたが暗号資産への言及がなく、同じタイミングでホワイトハウスのサイトにアップされた最優先事項(First Priorities)に入っていなかったことが失望を呼び、BTCは10万ドル台に急落した。
但し、暗号資産関連の大統領令への期待感もあり10.4万ドル近辺に値を戻したが、署名が始まってもなかなか暗号資産関連のものが出てこないことから、再び10万ドル近辺に値を落とした。
本日のBTC市場は底堅い展開を予想する。
BTCは衝撃的なTRUMPトークンデビューもあり史上最高値を更新したが、トランプ氏の演説に含まれていなかったことが失望され急落、初日の大統領令待ちの状況となった。
このTRUMPトークンの大ヒットも、最重要事項に入ってなかったことによる失望も、トランプ政権への期待感の大きさを物語っている。
現在俎上に上っているトランプ政権の暗号資産政策では、ワシントンポストが報じたSAB121とチョークポイント2.0撤廃、ロイターが報じたSECによる規制の明確化と訴訟の見直し、ブルームバーグが報じた暗号資産を優先事項(Priority)とすることなどが挙げられる。期待が高かった戦略備蓄については事前の報道が無く、もう少し議論を詰めた上でのスタートになる可能性が高そうだ。
1番目のSAB121とチョークポイント2.0は執筆時点では出てきていないが、仮に初日の大統領令で出なかったとしても、いずれ出てくる可能性が高そうだ。
2番目のSECについては司法省の「武器化」を非難する大統領令で、バイデン政権下で行われた仕事に政治的偏向がないか証券取引委員会などを徹底的に調査するよう司法長官に指示している。
3番目のPriorityについては、First Priorityからは落選したが優先事項であるという事には変わりはなさそうだ。例えば、関税や減税についても演説では触れられていない。
現時点では3戦中1勝2分けくらいのイメージで、悲観して失望売りするほどの内容ではなく、要は期待感が強すぎた結果か。今晩、米投資家が戻ってくれば、ETFフローに押し戻されそうだ。
なお暗号資産推進派のラマスワミ氏が政府効率化省を去ったのが気になるが、オハイオ州知事選出馬準備のためとのことで問題は無さそうだ。
※MMD研究所調べ/2023年12月25日時点
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松田康生 楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
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