トランプ米大統領は7日、石破茂首相とホワイトハウスで会談し、対日貿易赤字を解消したいと述べた。一方で石破首相は、日本の自動車大手による新たな対米投資の可能性を強調した。
トランプ氏は石破氏との初会談で、「私は、赤字の面で他の国々も米国と平等になるようにしたい」と発言。貿易面での懸念を強調した。
石破首相は今回の訪米で、経済・防衛面での関係強化を図りたい考え。日本は米国にとって極めて重要な同盟国の一つであり、石破首相は同盟国も標的にするトランプ大統領の関税の脅威による経済的打撃を回避し、米国との安全保障面での協力を再確認することを目指している。
トヨタといすゞ
石破首相は首脳会談で、トヨタ自動車が将来の対米投資拡大を発表する予定であると同社最高経営責任者(CEO)から聞いていると述べたほか、いすゞ自動車が米工場を建設し雇用を創出する計画だと話した。石破氏は最近、トランプ氏との会談の際にエネルギーの安定供給を要請する考えを示している。
トランプ大統領は就任以降、関税の対象として日本を名指していないが、日本の対米貿易黒字や円安に加え、日本の自動車メーカーが大きな市場シェアを握っている点をかねて懸念している。
USスチール買収
日本製鉄によるUSスチール買収計画については、トランプ氏は自身の考えを変えていないと発言。その上で、同買収計画について石破氏と話し合うと述べた。
トランプ氏の発言後、USスチール株は一時下げを拡大して8.1%安となったが、その後に上げに転じた。CBSニュースは複数の関係者の話として、日鉄によるUSスチール買収の計画についてトランプ氏が認可を検討していると報じた。
トランプ氏は、日鉄によるUSスチール買収計画について考えを変えたのかとの質問に対し、「ノーだ。その件についてはきょう話し合うことになるだろう。私は考えを変えていない。それについてかなり良い情報が得られると聞いている」と述べた。ただそれ以上の詳細は語らなかった。
トランプ氏はこれに先立つ6日、USスチールのデービッド・ブリットCEOと会談した。ブリット氏はこれまで、日鉄による買収が阻止されれば、数千人の雇用が脅かされるとともに、鉄鋼の街であるピッツバーグに同社が本社を置き続けることができるか疑問が生じると述べている。
相互関税
トランプ氏はまた、同様の関税を課して報復する相互関税の導入計画を来週公表する予定だと語った。同氏が仕掛ける貿易戦争を大きくエスカレートさせる形になる。
トランプ氏は、この措置は「全員に」影響を与えると述べたが、詳細については明らかにしなかった。
このほか、とりわけ自動車を対象とした関税が検討されていると説明。「それは常に選択肢であり、非常に大きな問題だ。我々はそれを均等にする必要がある」と述べた。
今回の首脳会談に先立ち、複数の米政権高官は、両首脳が防衛や人工知能(AI)、半導体、サイバーセキュリティーに関する協力を含む、日本の対米投資強化について協議すると明かしていた。
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原題:Trump Says He Wants to End Trade Deficit with Japan(抜粋)
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