米共和党のドナルド・トランプ氏は20日、第47代大統領に就任した。就任早々、パリ協定からの離脱や、WHOからの離脱手続きをすすめるための大統領令に署名したが、この大統領令とはどのようなものなのだろうか。
Q 米国の「大統領令」とは。
A 大統領の署名一つで政府や軍に命令できる強力な権限だ。策定された規則や規制は法律と同等の力を持つが、議会の承認をとったり、新たに法律を作ったりする必要がない。
20日、米ワシントンで、支持者を前に大統領令に署名したトランプ大統領=ロイター
Q 歯止めがかからないのではないか。
A 実質的な効力には限界もある。政府機関の活動に必要な予算を承認する権限は議会にあるため、議会が執行に必要な予算を通さなければ、大統領令は実質的に無効となる。
野党や企業、市民団体などが大統領令の無効を求めて提訴することも少なくない。裁判所で違憲判決が出れば、やはり大統領令は効力を失う。
Q トランプ氏は1期目も大統領令を多用したのか。
A カリフォルニア大サンタバーバラ校「アメリカン・プレジデンシー・プロジェクト」によると、トランプ氏は1期目の4年間で220件の大統領令を出した。年平均の55件は、ジミー・カーター政権(1977~81年在任)の80件以来の多さだったが、フランクリン・ルーズベルト政権(33~45年在任)の307件に比べれば少ない。
Q トランプ氏が20日に署名したのはすべて大統領令か。
A トランプ氏は、連邦官報への公開が義務付けられた「大統領令」以外に、その義務がない「大統領覚書」にも署名した。両者の効力は同じだとされるが、一般的には、手続きが厳格な命令の方が格が上だとされている。