共通テストの「受験上の配慮」 30年で10倍増も、まだ残る課題

大学入学共通テストに臨む受験生たち=東京都文京区で2023年1月14日、宮武祐希撮影

1月18、19日の大学入学共通テストでは、約50万人の出願者のうち約3500人が「受験上の配慮」を受けられるように申し込んだ。

対象者の数はこの30年あまりで10倍に増え、あらゆる人が公平な受験機会を得られるようにする取り組みが進む。一方で他の資格試験などでは十分な対応が取られていないケースもあるという。

自らも視覚障害者で、試験制度を研究する独立行政法人「大学入試センター」の南谷和範教授(48)に、日本の「試験」に課された「宿題」を聞いた。【聞き手・黒川晋史】

――大学入試センターが実施する共通テストでは、どのような配慮をしていますか。

◆1979年に始まった旧共通1次試験の期間には、点字冊子を配ったり補聴器の持ち込みを認めたりしたほか試験時間の延長などをしていました。

90年からの旧センター試験では解答作業が難しい場合に代筆を認め、配慮の対象となる障害区分に「発達障害」を加えるなど、当事者との対話を通じて改良を重ねてきました。

2021年からの共通テストでも、拡大文字冊子のフォントをより読みやすいものにするなど、毎年のように変更を加えています。

他の試験でも共通テストの取り組みは参考にされていると聞くので、責任は重大だと思っています。

――そもそも、そうした配慮はなぜ必要なのでしょうか。

◆試験とは個々人の能力を客観的に一つの尺度で比較できるものであるはずです。しかし、本来測ろうとしている能力以外の部分に制約がある受験者が、そのせいで間違った評価を与えられてしまえば、全く良くないことです。

受験環境を整えることで、本来問おうとしている能力を十分に発揮してもらえるのです。

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