大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)が不信任決議を受けて議会を解散したことに伴う市議選(定数24)が2日、投開票された。読売新聞など報道6社が共同で告示前に実施したアンケートで、永野氏への不信任決議案が再提出された場合、「賛成する」と回答した候補者のうち22人が当選。改選後の市議会で不信任決議案が再び可決され、永野氏が失職する公算が大きくなった。
開票作業を行う職員たち(2日午後9時10分、大阪府岸和田市で)
「賛成する」と回答した複数の候補者は読売新聞の取材に対し、市議選後、なるべく早期に市議会で不信任決議案の再提出を目指す考えを明らかにした。
不信任決議案が可決された場合、永野氏は自動失職し、50日以内に市長選が行われる。今月中旬の可決なら、市長選は3月下旬~4月上旬に実施される。永野氏が出馬の意向を示しており、「反市長派」も候補者の擁立を模索している。
アンケートでは、候補者29人のうち26人が、不信任決議案に「賛成する」と回答。「反対する」と答えたのは3人で、このうち永野氏の妻・紗代氏(38)と前議員の2人が当選し、政治団体「NHKから国民を守る党」の新人は落選した。
不信任決議案の可決に必要なのは「3分の2以上の出席」かつ「過半数の賛成」で、再提出されれば可決は確実となっている。
永野氏は性的関係を巡って女性から提訴され、昨年11月、永野氏が解決金500万円を支払うことで和解した。大阪地裁は和解調書で、永野氏について「(女性より)優越的立場にあった」とし、公人で配偶者がいることも踏まえ、「性的な関係を持つことはよくよく自制すべきだったという非難は免れない」との所見を示した。
永野氏は「妻以外の人と交際関係にあり、本当に申し訳なかった」と謝罪する一方、「性加害などは一切やっていない」と説明した。
市議会は、永野氏が説明責任を果たさず、市政の混乱を招いたなどとして、昨年12月、永野氏に対する不信任決議案を可決。永野氏は失職や辞職を選ばず、市議会を解散した。
市選挙管理委員会によると、2023年4月の前回選では約7300万円の費用がかかった。今回の市議選では、人件費の高騰などで同規模以上を見込んでいるという。
同市の自営業の男性(43)は「市長の問題に市民が振り回されているように感じる」と話した。
白鳥浩・法政大教授(現代政治分析)の話 「市議選で『市長派』の候補者はごく少数で、不信任決議案が再び可決されるなら、市長の解散に大義はなかったということだろう。民主主義のコストとして仕方ないのかもしれないが、果たして多額の資金を費やして市議選をする必要があったのか。もし永野氏が自動失職し、出直し市長選に出馬することになれば、解散という判断で市民に負担を背負わせた責任も問われることになる」