日本遺産「古代日本の『西の都』」が初の取り消し 小樽と入れ替え

田島知樹

「古代日本の『西の都』」の構成文化財の一つ、大宰府政庁跡=2019年4月1日午後5時33分、福岡県太宰府市、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影

文化庁が認定する「日本遺産」について、同庁は4日、「古代日本の『西の都』」(福岡県)を一覧から外し、「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」(北海道)を新たに認定したと発表した。2015年の制度開始以来、認定遺産が除外されるのは初めて。

日本遺産は、地域ならではの歴史や文化財を織り込んだ「ストーリー」を評価・認定し、観光の活性化などを目指す制度。100件程度を上限に、20年までに104件を選んだが、地域によって温度差があることから、取り組みが不十分な認定地域と、認定を目指す候補地域を入れ替える「点数評価」が今年度から始まった。

今回は、21年度に条件付き認定となった4件と新規1件の計5件を、観光事業化や普及啓発など七つの指標による42点満点で評価した。

「古代日本の『西の都』」は、古代の大宰府政庁跡を中心に大陸との交流の場を伝える遺産。構成文化財の一つ、太宰府天満宮への訪問者は多いが、「来場者が日本遺産のストーリーをどこまで認識・体感しているか不明瞭」「他の資産に誘導できていない」「住民からの認知度が低い」などと指摘され、5件の中で最低評価の31点だった。

今後は候補地域となり、文化財の修繕や人材育成などで日本遺産としての国の補助がもらえなくなるが、26年度以降に再び点数評価を受けることができ、高評価なら再認定される。

新たに日本遺産となった「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」は、一度は衰退したが「民の力」でよみがえった商都というストーリーで、40点の高評価だった。

他の3件は、「六根清浄と六感治癒の地」(鳥取県)が40点、「『信長公のおもてなし』が息づく戦国城下町・岐阜」(岐阜県)が39点、「津和野今昔」(島根県)が37点。いずれも21年度には取り組みが不十分とされたが、今回は「他の地域のモデルになる」と高く評価され、日本遺産の「特別重点支援地域」「重点支援地域」「認定地域」「条件付き認定地域」の四つの分類のうち、上から2番目の「重点支援地域」となった。

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田島知樹

文化部|文化庁担当

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専門・関心分野

文化政策、国際政治、特に欧米の外交史

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