【ワシントン=太田晶久、阿部真司】7日にワシントンで行われる日米首脳会談では、トランプ大統領が防衛費の大幅増を求めてくる可能性があり、日本側は警戒感を強めている。石破首相は日本の防衛力強化の取り組みを詳細に説明しつつ、大幅増を求められても、日本自らが判断するとして要求をかわす構えだ。
第1次トランプ政権で駐日大使を務めた共和党のウィリアム・ハガティ上院議員は、ワシントンで6日に行った講演で、防衛費を対国内総生産(GDP)比で3%以上に増額するようトランプ氏が求める可能性に言及した。
トランプ氏は2016年の大統領選で、日本などの同盟国について、応分の負担をしなければ「防衛は自国でやってもらう」と発言し、19年夏には政権高官が日本側に当時の4倍となる年間80億ドル(当時約8500億円)の在日米軍駐留経費を打診したこともあった。
政府は22年12月に決定した国家安全保障戦略など3文書に基づき、防衛力の抜本的強化を進めており、27年度に防衛費や海上保安庁予算などを合わせた安保関連費を約11兆円にする計画だ。約11兆円は22年度のGDP比で2%となる。25年度当初予算案の防衛費は8兆4700億円が計上され、25年度見通しの対GDP比では1・35%にまで伸びた。
首相はこうした取り組みをトランプ氏に説明し、理解を得たい考えだ。一方で、首相は周囲に、「米側に言われたから防衛費を上げますとは言えない」とも語っており、大幅増の要求には安易に応じない方針だ。対GDP比3%などの数値目標は示さない形で、さらなる防衛力強化に取り組む姿勢を示すことは検討する。
政府・与党は昨年末、防衛力強化に必要な財源を確保するための増税のうち、所得税の開始時期の決定を先送りした。防衛増税に反対する声が強いためで、さらなる大幅な増額は財源との兼ね合いからも簡単にはいかない事情がある。