早大、今季最多の5トライ献上 主将HO佐藤「ふがいないキャプテンだったかも…」/大学選手権

負けて悔しがる早稲田大フィフティーン=秩父宮ラグビー場(撮影・今野顕)

第61回ラグビー全国大学選手権決勝(13日、早大15-33帝京大、秩父宮)帝京大(関東対抗戦2位)が早大(同1位)から5トライを奪って33―15で勝ち、4大会連続13度目の大学日本一に輝いた。2009年度の初優勝から17年度まで9連覇したのに続き、史上初めてとなる2度目の4連覇。優勝回数は明大に並び、早大の16回に次ぐ2位となった。関東対抗戦は早大に敗れて2位だったが、主将のFL青木恵斗(4年)を中心に、2カ月後の再戦で雪辱した。

試合後の会見場に入ってきた早大HO佐藤の目は真っ赤。こらえきれずに何度も目をぬぐった。

「最後はふがいないキャプテンだったかもしれないけれど、ついてきてくれたみんなに感謝したい」

2大会前の決勝では、帝京大に決勝最多得点を許す20-73の完敗。前回は準々決勝で京産大に28-65と大敗した。佐藤や首脳陣は、「大学日本一になるには」と逆算し、昨年1月からスクラムとディフェンスの整備に力を注いできた。その成果で、昨年11月の関東対抗戦では帝京大を48-17で4年ぶりに撃破。だが、大学選手権3連覇の王者は、2カ月前から見違えるように変わっていた。

風下の前半、最初のスクラムでスクラムを崩す反則を取られ、出はなをくじかれた。佐藤にとって神奈川・桐蔭学園高の同級生で、2、3年時に一緒に2連覇を達成した帝京大FL青木主将らに立て続けに2トライを許す。そこから立て直し、FB矢崎由高(2年)らが2トライを取り返したが、風上の後半は圧力を増した相手守備の前にノートライ。逆に3トライを献上し、今季最多の5トライを許した。

満面の笑みを絶やさずラグビーを楽しむ佐藤だが、2年でNO・8からHOに転向したとき、さまざまな指摘を受け「ラグビーをやめようかと思った」という。大学選手権で大敗を繰り返し、4年時は大学ではなくリーグワンでプレーすることも考えた。それでも「恩返しは優勝すること」と、主将としてチームを引っ張り続けた。

「リーグワンで青木にやり返そうと思う」と、トヨタに進む予定の青木とは別のチームでの活躍を期す佐藤。その先には2027年W杯がある。「負けっぱなしの大学ラグビーだったが、W杯にスタメンで出ます」。夢の続きを、次のステージで果たす。(田中浩)

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *