1月17日、阪神・淡路大震災の発生から30年となりました。 福岡市内に新しく完成したビルなど「街の防災」が進む中、私たち1人1人はどう備えれば良いのか。 大地震の発生リスクが高い危険な福岡の断層と、身近な防災対策を取材しました。
◆アナウンス(訓練) 「緊急地震速報です。強い地震に警戒してください。腰を落として頭を守れ!」 福岡県久留米市役所で17日行われた地震訓練。 参加者は、命を守るための基本行動として「頭を低く・頭を守り・動かない」という3点を再確認しました。 久留米市は毎年「1月17日」に訓練を実施。 そのきっかけとなったのが… 30年前の1月17日、最大震度7の揺れが襲った阪神・淡路大震災。 街の至る所で火災が同時多発的に発生したほか10万棟を超える住宅が全壊し、6434人の尊い命が失われました。
そしてこの阪神・淡路大震災に匹敵する巨大地震が、福岡市中心部で起きる可能性があります。 ◆福岡大学工学部 高山峯夫教授 「この辺りから南北に向かって「警固断層」が走っている」 福岡市中央区の地下鉄・赤坂駅。 そのほぼ真下を通っているのが“日本一危険”ともされる「警固断層」です。
2005年に福岡市などで最大震度6弱を観測した福岡県西方沖地震。 この時に揺れたのは警固断層帯の「北西部」でした。 赤坂駅周辺など福岡市の真下を通る「南東部」ではまだ地震は起きていません。
福岡県の防災計画によると警固断層南東部の地震が発生した場合、福岡市内の多くで「震度6強」の揺れが発生。 死者は1000人以上。 約18000棟の建物が全壊すると想定されています。 警固断層南東部で30年以内に地震が発生する確率は「0.6%~3%」。 一見、低いようにも感じますが、国の研究所は警固断層の地震発生リスクを最も危険な「Sランク」としています。
◆福岡大学工学部 高山峯夫教授 「0.3~6%と言われて『そんなに確率低いの?』とみんな思う。でも2016年に起きた熊本地震の今後30年に起こる発生確率はほぼ0%だった。警固断層という断層があり、ここでは地震が起こるかもしれない。特に福岡市内に住んでいる方は考えて、意識を持っていただきたい」
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その巨大地震に対し、私たちができる備えは? ◆福岡県建築住宅センター 玉利保博さん 「既存の建物の“補強”で、このような形で施工される」 壁に取り付ける補強用の「筋交い」です。
住宅の模型に「筋交い」を設置し揺らしてみると…。 ◆記者リポート 「全く揺れないですね」 筋交いがない模型は大きく揺れています。 ただ、建物の耐震補強やリフォームには最低、数週間を要します。
今すぐできる対策はあるのでしょうか。 ◆福岡県建築住宅センター 玉利保博さん 「壁に固定することによって、家具の転倒を防止するのが非常に有効」 ホームセンターなどで数百円から購入できる家具の固定器具です。
さらに… こちらは地震の揺れを検知し、自動でブレーカーを落とす「感震ブレーカー」。 停電から電気が復旧する際の「通電火災」も防ぐことができ、約1万円で購入可能です。
続いて、1人暮らしの高齢者が生き埋めになるのを防ぐことができる「耐震ベッド」です。 このベッドは真上から6トンの力が加わっても耐えることができます。
◆福岡県建築住宅センター 玉利保博さん 「2階が潰れてきても壊れないような作りになっている。介護が必要な方や(自分で)動けない方、このベッドで休むことで、地震が起きても生命は守られると思う。福岡県は『耐震アドバイザー』を派遣している。今の自分の家の状態をまずは知っていただくことが大切」
地震への備えとして、まずは自分が住んでいる家がどんな状態なのかを知ることが大切です。 建築基準法が定めた耐震の「基準」はこれまでに変わってきていて、1981年の5月以前に「旧・耐震基準」で建てられた建物は大地震で倒壊の可能性があるため危険です。 そして、「新・耐震基準」と「2000年基準」を満たしたものを「耐震化された住宅」としてその割り合いを示したデータによると、福岡県内の住宅全体の耐震化率は2018年の時点で89.6%です。 それなりに高い数字に見えますが、これを高齢者が多く暮らす木造の戸建てに限定すると「78.3%」と、8割以下にとどまっているのが現状です。
テレビ西日本