発がん性疑われる食品着色料、FDAはなぜ禁止決断したか-QuickTake

発がん性が指摘されている合成着色料「赤色3号」が近く米食品医薬品局(FDA)から禁止される。

赤色3号はキャンディーや冷菓、フルーツジュースなどに含まれるが、化粧品への使用は30年余り前に禁止されていた。腫瘍との関連性を示すマウスの実験結果を踏まえたものだ。近年は複数の団体が一体となって、使用禁止を食品に拡大するようFDAに強く求めていた。

2023年にカリフォルニア州が、27年までに禁止する方針を打ち出したことでこの問題の注目度が高まった。トランプ次期米大統領が厚生長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏も合成着色料の使用に批判的だ。企業は28年1月までに使用をやめる必要がある。

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赤色3号とは何か?

石油由来の合成着色料で、せき止め薬から栄養ドリンクまでさまざまな製品に含まれる。欧州ではマラスキーノ酒で味付けしたチェリーなど一部を除き使用が認められていない。

1980年代初頭のマウス実験では、この着色料を投与されたオスのマウス70匹のうち15匹に甲状腺腫瘍が見つかった。ただメスには確認されなかった。FDAは化粧品への使用禁止に動いたが、食品からの除外が必要になるほど科学的根拠は強くないと判断した。

赤色3号はどんな製品に含まれるか?

「ピープス」のマシュマロや「ブラッチズ」のキャンディーコーン、ベティクロッカー(ゼネラル・ミルズのブランド)のスプリンクル(焼き菓子などへのトッピング用菓子)などに広く使われてきた。またアボット・ラボラトリーズの栄養ドリンク「エンシュア」のいちご味、コストコやライト・エイドで販売されている胸焼け薬、武田薬品工業の注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療剤「ビバンセ」、せき止めシロップなどにも含まれる。

食品スキャンアプリを手掛けるGoCoCoの分析によると、赤色3号の含有率は焼き菓子の飾り付けやデザートのトッピングで約25%、ガムやミント菓子が16%、キャンディーで13%、クッキーやビスケットは11%。

なぜFDAの使用禁止までこれほど時間がかかったか?

1990年の化粧品への使用禁止以降、食品への適用拡大を求める機運が高まったが、実現には至らなかった。マラスキーノチェリーのメーカーをはじめとする食品業界のロビー活動が影響したとの見方がある。

連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)のデラニー条項でFDAは、発がん性が認められる食品添加物は、たとえ少量であっても禁止が義務化されている。だが、現在までに得られた科学的証拠では、赤色3号と人のがん発症の直接的な関連性は確認されていない。だがマウスでがんが見つかったという実験結果は、請願を受けたFDAが再考するには十分な内容だった。

他にどの着色料が精査されているか?

石油由来の赤色40号が赤色3号の代替品と考えられているが、これにも懸念がある。子供に多動性を引き起こすことが判明しており、ベンジジンといった発がん性物質が含まれることが確認されている。ペンシルベニア州議会にはこの着色料の禁止法案が提出されている。

黄色5号と6号、青色1号と2号、緑色3号なども各州が調べている。黄色5号と6号は、ベンジジンや他の発がん性物質が含まれ、多動の原因になることも分かっている。

企業は赤色3号の代わりに何を使用するか?

ケロッグ製シリアルのラベル。赤色40号の使用が記載されている

代替品は赤色40号のほか天然由来のカルミンが挙げられる。カルミンは主に中南米に生息するコチニールカイガラムシから作られる赤色着色料。 人類は15世紀以降、衣類や毛布の染色にこの虫を利用してきた。

ただカルミンはアレルギー反応を引き起こす可能性があり、FDAは使用した食品には明確なラベル表示を義務づけている。ペルーの企業インバレックスが製造するカルミンはソーセージやヨーグルト、ジャム、キャンディーに使われる。

スターバックスは、顧客の反発で2012年に使用を中止するまで、ストロベリークリームフラペチーノなどピンク色の飲み物やケーキ類にカルミンを使用していた。

天然着色料の選択肢としては、古くからあるビーツやビートルートもある。

原題:Why the FDA Finally Banned a Cancer-Linked Food Dye: QuickTake(抜粋)

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