止まったままの時計の前で手を合わせる人ら=17日午前5時46分、兵庫県西宮市(甘利慈撮影)
阪神大震災の発生から30年となる17日、兵庫県内の各地で追悼行事が営まれた。
多くの店舗が全半壊するなど甚大な被害を受けた兵庫県西宮市の西宮中央商店街では、地震の衝撃で発生直後の時を刻んだまま止まった大時計のモニュメント前に商店主らが早朝に集まり、発生時刻の午前5時46分、手を合わせて黙禱(もくとう)した。
当初は100人近くが集まったが、復興に携わった人が亡くなったり店をたたんだりして年々少なくなり、今年は約30人。商店主らへの声かけ役を務めた元商店街理事長で呉服店経営の松下治正さん(73)は「近年は10人を割っていたので、これでも多く集まっていただいた方だと思う」と話す。
人も店舗も大幅に入れ替わり、震災のことを話す機会が少なくなってきたことに寂しさを感じる一方で、「最近は、いつまでも引きずるよりはいいのかなと思えるようになった」とも。「30年前に商店街は生まれ変わった。前を向いて、えべっさん(西宮神社)の門前の商店街を盛り上げていければ」と静かに語った。