競技引退に「もったいない」の声も… 初マラソン日本新記録の青学大・若林宏樹の本音 – スポーツ報知

◆別府大分毎日マラソン (2日、大分市高崎山うみたまご前スタート、別府市亀川漁港前折り返し、大分市ジェイリーススタジアムゴール=42・195キロ)

9月の東京世界陸上男子マラソン日本代表選考を兼ねて行われ、大学卒業を機に引退を表明している青学大の若林宏樹(4年)が日本歴代7位、初マラソン日本最高、日本学生新記録の2時間6分7秒で日本人トップの2位となった。第101回箱根駅伝(1月2、3日)では山上りの5区で区間新記録をマークして青学大の連覇に貢献。マラソンでも能力を発揮し、世界陸上参加標準記録(2時間6分30秒)も突破したが、あらためて引退の意思を示した。ケニアのビンセント・キプチュンバ(34)が2時間6分1秒で優勝。(曇り、気温9度、湿度86%、南南東の風0・8メートル=スタート時)

箱根駅伝5区を区間新記録で力走してから、ちょうど1か月。若林は初マラソンでも記録ずくめの激走を見せた。日本歴代7位で初マラソン日本最高&日本学生新記録をたたき出し、「日本学生新記録は全く考えていませんでした。トラックに入って(速報掲示板を見て)こんなに速いのか、と思った」と目を丸くした。

35・6キロ。三海橋の上り坂でキプチェンバの仕掛けに、反応できたのは若林だけだった。「ペースアップした感覚はなかった。得意の上り坂をペースを落とせずに走れた。箱根5区(20・8キロ)の小涌園前(11・7キロ)からの急激な上り坂の方が心肺機能はきつかったですね」。40キロ過ぎには一時先頭にも立ち、昨年2月に平林清澄(国学院大)がマークした初マラソンの記録を11秒塗り替えた。

大学卒業を機に引退し、日本生命に入社する。9月の世界陸上の参加標準記録を突破し、引退は「もったいない」との声も上がるが、意思は変わらないという。「これでやめるからこそ、出たタイムでもあると思います。競技者としては引退しますが、走ることは好きなので、市民ランナーとして楽しく走っていきたい」と言い切った。

泰然自若で頭脳明晰(めいせき)。後輩や同期から「若さま」「若さん」と呼ばれ、一目、置かれる存在だった。箱根駅伝では3度5区を走り、すべて優勝につなげ「若乃神」と付けられた。「陸上人生の有終の美を飾れました。山あり谷ありの陸上人生でした。やり切ったという気持ちです。今までは支えられる側だったので、卒業後は人を支える仕事をしたい」。若林は爽やかな表情で、卒業後を見据えた。

◆若林 宏樹(わかばやし・ひろき)2002年9月3日、和歌山・下津町(現・海南市)生まれ。22歳。京都・洛南高で全国高校駅伝1年5区14位、3年1区3位。21年に青学大に入学。箱根駅伝は1年5区3位、3年5区2位、4年5区区間新。出場した3大会はいずれも優勝した。自己ベストは5000メートル13分41秒32、1万メートル27分59秒53、ハーフマラソン1時間1分25秒。168センチ、53キロ。

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