第1回改革が疑惑へ、揺れる「名門」 理事長は「ジャンヌダルク」なのか

有料記事一強の果て

福冨旅史 三井新

一強の果て

元トップが逮捕される異例の事態に発展した東京女子医科大学(東京都新宿区)。「名門」の「救世主」とされた岩本絹子容疑者(78)はどのように「一強体制」を築き、内部では何が起きていたのか。3回にわたって詳報します。

「岩本絹子先生は凄(すご)いのよ! 女子医大の救世主なの」

「強い意志と母校愛にあふれたやさしく気配りのあるお人柄の持ち主です」

昨年1月に作成された「岩本絹子先生の歩み」という約40ページの文集には、元理事長をたたえる9人分の寄稿が並んだ。

作成したのは、卒業生有志で立ち上げた「岩本絹子先生を支える会」。寄稿文では、卒業年次が近いOGの1人が、報道されていた金銭がらみの疑惑を「フェイクニュース」と断じ、こう続けていた。

「数多くの素晴らしい業績をなされてきた岩本先生をジャンヌダルクにしてはなりません」

発行の1年後、東京女子医大の元理事長、岩本絹子容疑者(78)が、大学の資金を流出させた疑いで警視庁に逮捕された。

創立者の一族

日本で唯一の女子医科大学。100年超の歴史を持ち、付属病院は心臓外科や臓器移植などの高度医療が知られている。

だが、近年は子どもが亡くなる医療事故があった。付属病院で2014年、集中治療室人工呼吸器を付けた男児(当時2)が麻酔薬を大量投与された後に死亡した業務上過失致死事件だ。

この翌年、病院は診療報酬の優遇措置を受けられる「特定機能病院」の承認が取り消され、同大も連鎖的に約37億円の赤字に陥った。

そのような厳しい状況の中、14年12月に副理事長として迎えられたのが、岩本容疑者だった。同大の第三者委員会の報告書によると、岩本容疑者までに理事長を務めた6人中、岩本容疑者を含む5人が創立者の一族という。

■人件費の削減案に現場が反発…

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