第2次トランプ政権発足 次々に大統領令、支持者らには早速恩赦

米連邦議会議事堂で行われた大統領就任式で演説するトランプ大統領=ワシントンで2025年1月20日、ロイター

ドナルド・トランプ米大統領が20日就任し、第2次政権を発足させた。就任演説では「米国の黄金時代が今まさに始まる」と宣言した。自国の利益を最優先し、外国製品への関税引き上げや国境管理の強化、原油・天然ガスの増産を進める考えを強調。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの再脱退や世界保健機関(WHO)からの脱退も表明し、国際協調に背を向ける姿勢も鮮明にした。

トランプ氏は就任直後、大半の連邦機関での新規採用停止やリモート勤務の廃止、物価抑制策、連邦司法当局による過去の捜査の検証などを大統領令で指示した。2021年の連邦議会襲撃事件で訴追された支持者ら約1270人に恩赦を与え、主導した極右団体の幹部らを減刑した。

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就任宣誓式は20日、寒さに配慮し、屋外から連邦議会に会場を移して行われた。バイデン前大統領ら歴代大統領や連邦議会議員、大手IT企業トップらが臨席した。宣誓後の演説では「今の連邦政府は自国内の単純な危機さえ管理できず、海外では悲惨な出来事が続いている。自国の国境も守れないのに、外国の防衛のためには制限なく支出している」とバイデン政権を批判。「私は大統領選で、恐ろしい裏切りを大転換するための負託を受けた。米国の衰退はこの瞬間から終わる」と述べた。

政策面では、メキシコからの不法移民の越境とエネルギー価格に関して「国家非常事態」を宣言。亡命希望者が仮放免されるのを禁止し、不法移民の国外追放を進めると表明。中南米などの麻薬カルテルを「外国テロ組織」に指定するとした。また、電気自動車(EV)購入補助金などバイデン政権の気候変動対策を撤回し、原油・天然ガスの増産や外国への輸出増加を促進する方針も示した。

「連邦政府の能力や効率性の回復を目指す」として、政府外助言機関「政府効率化省(DOGE=ドージ)」の創設も宣言した。トップを務める実業家のイーロン・マスク氏は、ホワイトハウスに常駐し、歳出削減や規制緩和、省庁改革を提言することになる。

人種や性別などの多様性を重視する政策を撤廃し、能力主義に基づく政策に改める方針も表明した。既に大手企業ではDEI(多様性・公平性・包括性)施策の見直しが相次いでいるが、連邦政府でも取り組みは大きく後退しそうだ。

国際社会では「最も偉大で、力があり、尊敬される国という正当な地位を取り戻す」と宣言し、米軍を増強して抑止力を高める考えを強調。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦仲介に触れて「私は平和をもたらす調停者になりたい」とも述べた。【ワシントン秋山信一】

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