- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
混乱が続く韓国政治は昨年12月に非常戒厳を宣言した尹錫悦大統領が15日、内乱容疑などで捜査機関に拘束される異常事態に陥った。現職大統領の身柄拘束は憲政史上初めてだ。隣国の国内対立や行政の停滞によって地域情勢が揺らがないようにすべきである。
捜査を主導する高官犯罪捜査庁(高捜庁)と警察との合同捜査本部は尹氏を内乱の首謀者とみなす。尹氏の拘束令状を2度請求し、裁判所がいずれも認めた。今回、大統領公邸前で警護側とめだった衝突がなかったのは幸いだ。
軍事政権以来の非常戒厳では、軍や警察が国会を統制し、中央選挙管理委員会にも兵力が送られた。捜査当局は戒厳軍が令状なしに国会議員らの逮捕を試みた点などが内乱にあたるとみている。
かたや尹氏は国民への映像メッセージで、流血の事態を防ぐために出頭要請に応じたとしつつ、不法捜査を受け入れるわけではないとの従来の立場を強調した。
非常戒厳には謎が多い。例えば尹氏が与野党の主要議員の排除や逮捕を指示したとする証言を尹氏側は否定している。尹氏の弾劾の是非を判断する憲法裁判所と併せて真相究明を急ぐ必要がある。
少数与党政権で行き詰まり、軍まで動員して民主主義を抑え込もうとした責任は厳しく問わざるを得ない。数の力で多数の政権人事を覆し、政策や予算も軒並み否定した野党側にも問題がみえる。政権交代のたびに報復の政治を繰り返す慣習は望ましくない。
文在寅前政権下で政治犯罪を捜査する独立機関として発足した高捜庁と警察が、尹氏が籍を置いた検察と捜査を競うような姿には違和感がある。国民感情への配慮や野党の圧力が、捜査機関や司法の判断に影響していないか。
尹氏を支持する保守層が拘束で抗議を強めている。革新層との分断がさらに深まる恐れがあり、韓国社会の行方を憂慮する。
179人が死亡した韓国の旅客機事故は大統領と首相の職務が停止されているさなかに起きた。最近も北朝鮮が各種ミサイルを相次ぎ発射するなかで、韓国の有事対応への不安は拭えない。
日韓両政府がソウルで外相会談を開いた判断は評価できる。韓国が不安定な時期だからこそ対話の継続は重要だ。トランプ米大統領の就任を控え、安全保障や通商分野で利害が重なる日韓協力の意義はむしろ高まっている。
- 記事を印刷する
- メールで送る
- リンクをコピーする
- note
- X(旧Twitter)
- はてなブックマーク
- Bluesky
こちらもおすすめ(自動検索)
フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
エラー
操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。
権限不足のため、フォローできません
日本経済新聞の編集者が選んだ押さえておきたい「ニュース5本」をお届けします。(週5回配信)
ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。
入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。
ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。
入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。