70代夫婦が宝塚市に250億円を寄付、市立病院の建設資金 手術支援ロボ購入で3億9470万円も同時に

宝塚市立病院=宝塚市小浜4

老朽化で建て替えが計画されている宝塚市立病院の建設資金として、同市内に住む元会社役員の岡本光一さん(77)と妻明美さん(75)が、同市に250億円を寄付した。3日、市役所で会見した岡本夫妻は「病院は市民にとって大切な施設。工事費が財政上の負担だと聞き、夫婦で話し合って決めた。市民が安心できる病院ができ、住みやすい町になれば」と話した。

■宝塚市の当初予算案の約3割に相当

■阪神・淡路大震災をきっかけに公益財団を設立

■同病院への入院経験なし

宝塚市の人口は約22万人で、2024年度の当初予算案は905億5000万円。250億円はその約3割にあたり、同年度当初予算案で比べると、人口約4万5千人の赤穂市が263億1千万円、小野市(約4万7千人)が232億6千万円で、今回の寄付に近い額となっている。

夫妻は、阪神・淡路大震災をきっかけに、宝塚市内で日曜大工や手話のボランティアを始め、公益財団「プラザ・コム」を設立。2002年、活動拠点となる「ぷらざこむ1」を含む宝塚福祉コミュニティプラザを整備し、現在も運営に携わる。

これまでも福祉施設の改修費用4億円や山林の維持・管理費2億円などを同市に寄付。今回、財団の事業継承について、市などと話し合う中で、市立病院への寄付が具体化した。

同市は、250億円について、負担付き寄付として受領。市立病院建設の基金を設置する▽基金設置後5年以内に設計に着手する▽市立病院を建設する-の3点が寄付の条件となっている。また、市議会の議決が必要で、議決が得られない場合は契約が無効となる。同市は、今月開会する定例会に基金に関する条例案などを提出する。

岡本さんは今回、建設費用に加え、手術支援ロボット購入資金として、3億9470万円も同時に寄付。2人とも今のところ健康で、同病院への入院経験などはないが、「いい病院をつくってもらい、これで大丈夫と思えるよう、建設費の面で協力・応援をしたい」と話した。

同市は、築40年以上となる市立病院について、昨年11月に現在地で建て替えることを発表。2031年開院を目指し、概算事業費は397億円(350床想定)と試算していたが、財源の確保が課題となっていた。山崎晴恵市長は「財政が厳しい中、市立病院の建て替えが現実に近づいてきたと感じる。市民の命の最後の砦を守ることができる。感謝の気持ちでいっぱい」と述べた。(冨田佳久)

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