ロッテからポスティングシステムを行使してメジャー移籍を目指していた佐々木朗希投手(23)が、ドジャースと契約合意したことを17日(日本時間18日)、自身のインスタグラムで明かした。23年WBCの侍ジャパンでともに世界一を経験した大谷翔平投手(30)、山本由伸投手(26)とともに、ドジャーブルーのユニホームに袖を通すことになる。最速165キロの至宝が、常勝軍団で大谷&山本とタッグを組み、再び世界一を目指す。
朗希は自身のインスタグラムにドジャースの帽子の写真とともに「ロサンゼルスドジャースとマイナー契約を結ばせていただくことになりました。とても難しい決断でしたが、野球人生を終えて後で振り返ったときに、正しい決断だったと思えるように頑張ります。入団会見では、ここまで支えて頂いたすべての皆様に感謝しながら、ドジャースのユニホームに袖を通したいと思います。」とつづった。
ようやく朗希の新天地が決まった。23歳右腕の決断を、日本だけでなく、米球界からも大きな注目を受けていた。「25歳ルール」で大型契約が必要ないことから20球団以上が興味を示したとされた中で、最終的に選んだのは、当初から本命として挙げられていたドジャースだった。昨季世界一に輝いたド軍で、大谷&山本と新たなステージを歩むことになった。ドジャースは編成トップが来日して視察するなど熱心に調査を進め、昨年12月のウィンターミーティング(テキサス州ダラス)中にはフリードマン編成本部長が「彼は明らかに私たちにとって最優先事項だ。だから、できることは何でもするつもりだ」と熱烈なラブコールを送っていた。
かねて米球界への憧れを持っていた朗希。あと2年待てば、山本の12年総額3億2500万ドル(約465億円=契約発表時のレート)のような大型契約を結べる可能性もあった。「25歳ルール」でマイナー契約しか結べない(メジャー出場は可能)中でも、思いを抑えることができずに挑戦を決断。昨年12月9日にポスティングを正式に申請して、25年度分の「国際ボーナスプール」が米東部時間15日午前9時(日本時間同日午後11時)に解禁され、45日間だったポスティングの期限が23日の米東部時間午後5時(日本時間24日午前7時)に迫る中で、ドジャースとの合意につながった。
交渉解禁直後にウルフ代理人は20球団以上が獲得に興味を示していると明言。12月末には20球団から獲得の意思があることを伝えられたことを明かした。大型契約が不要で資金力に劣るチームにもチャンスはあり、争奪戦は激化。24年のうちに米国内でドジャース、パドレス、ヤンキースなど7球団以上と面談したとされ、一時帰国した。25年に入ってからは再渡米して再び複数球団と面談をして絞り込みの最終段階に入り、ドジャース、パドレス、ブルージェイズが最終候補に残ったとされていた。
制度上、マイナー契約となっているが、メジャー出場は可能。2月のアリゾナ州グレンデールのキャンプでアピールすれば、3月18、19日に東京ドームで行われるカブスとの開幕シリーズ登板の可能性も浮上する。ド軍の先発はグラスノー、山本の昨季の2本柱を軸に、今季はサイ・ヤング賞2度の左腕・スネルが加入し、故障などのため昨季登板のなかった大谷、ゴンソリン、メイらも復帰予定でローテ争いは激化している。13年からは12年連続でポストシーズンに進出し、11度の地区優勝、2度のワールドシリーズと「21世紀の常勝軍団」になりつつあるドジャース。黄金期突入、球団初のワールドシリーズ2連覇へ日本の剛腕がロサンゼルスに飛び込む。
◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年11月3日、岩手・陸前高田市生まれ。23歳。小学3年で野球を始める。大船渡では甲子園出場なしも19年のU―18日本代表に選出。4球団の競合の末に19年ドラフト1位でロッテ入団。22年4月10日のオリックス戦(ZOZO)で完全試合を達成。NPB通算64登板、29勝15敗、防御率2・10。394回3分の2を投げて505奪三振。192センチ、92キロ。右投右打。昨季年俸は8000万円。