SNSの誹謗中傷、刑事罰の対象 相次ぐ条例制定も「行政の削除要請」に懸念強く

兵庫県庁

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員として追及していた元県議の竹内英明氏が亡くなった。昨年11月の知事選直後、県議を辞職した理由は一身上の都合とされたが、「反斎藤派」の急先鋒(せんぽう)だった竹内氏には選挙中、交流サイト(SNS)上などで誹謗(ひぼう)中傷が集中。匿名の発信であっても、個人の人格などを攻撃する言動は刑事罰の対象となり得る。誹謗中傷防止に向けては条例を制定する自治体が相次いでいる。

SNS上など多くの人が閲覧できる状態で誹謗中傷の投稿をした場合、名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪に問われる可能性があり、個人の生命や身体に危害を加える内容なら脅迫罪に該当することもある。

ただネット上の投稿は発信者の情報開示による特定や、情報の真偽の裏付けに一定の時間がかかる。迅速に被害を把握し、立件につなげるのは簡単ではない。

刑法とは別に、自治体で条例整備の動きが加速している。群馬県は令和2年、全国に先駆けてネット上の中傷や差別を防ぐ条例を制定。大阪府や愛知県、三重県などが続いた。斎藤氏は知事選での再選後、条例制定を含む対応を検討している。

ただ、差別的な文言を含まずに根拠のない噓などで傷つける誹謗中傷の場合は、多くの自治体で相談窓口を設置するなどの支援にとどまる。

誹謗中傷と、事実関係などを巡る根拠に基づく正当な批判は明確に異なる。ただ、行政が情報の削除要請に介入すると、憲法が保障する「表現の自由」を侵害するとの懸念が根強く、対応の難しさが改めて浮き彫りとなっている。

誹謗中傷受け辞職した竹内元議員、他に百条委委員数人が被害

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