今回の大学入学共通テストは教科や科目の再編など大幅な制度変更のもとで実施された=18日午前、東京都文京区の東京大学(岩崎叶汰撮影)
19日に終了した令和7年度の大学入学共通テストは、一部教科で、現役生向けの「新課程」科目に加え、経過措置として浪人生向けの「旧課程」科目も設定された。大手予備校の予想では、旧課程のほうが新課程よりも得点が高かったとのデータが示されており、是正措置である「得点調整」が行われるか、注目されている。
地歴・公民、旧課程は軒並み易化
得点調整は、同一教科の科目間で、問題の難易差による有利不利が生じないよう、平均点を基準にその差を是正するために行われる。新課程、旧課程の科目が並立する今回共通テストでは、新旧間の差異も対象になる。
河合塾による予想平均点(19日時点の速報値)では、地理歴史・公民と数学で、新旧課程に差が出た。
新課程では、「地理総合、地理探究」が61点、「歴史総合、日本史探究」59点、「歴史総合、世界史探究」65点、「公共、倫理」57点、「公共、政治・経済」59点だった。
一方、旧課程では「旧世界史B」が76点(前年比+16点)、「旧日本史B」73点(同+17点)、「旧地理B」70点(同+4点)、「旧現代社会」73点(同+17点)、「旧倫理」61点(同+5点)、「旧政治・経済」69点(同+25点)、「旧倫理、政治・経済」66点(同+5点)。全ての科目で、前回を上回る予想となった。
また、数学では、新課程の「数学Ⅰ、数学A」が57点だったのに対し、旧課程の「旧数学Ⅰ・数学A」は69点。同じく新課程「数学Ⅱ、数学B、数学C」は60点、旧課程「旧数学Ⅱ・数学B」は71点だった。
20点以上の差はなし、24日発表へ
こうしたデータを受け、旧課程の浪人生側が有利だったのではないかとの見方も出る中、SNS上では、現役生とみられるアカウントから、「日本史、得点調整がなかったらしんどすぎる」「数学はマジで得点調整頼む」などと得点調整を求める声が続いた。
実際の行方は不透明だ。
大学入試センターによると、新旧課程での得点調整では、例えば「歴史総合、日本史探求」(新)と「旧日本史B」(旧)の2科目の平均得点差を単純に比べるのではなく、地歴教科に分類される全6科目の得点状況を総合的に判断するという。
共通テストでは原則として、①20点以上の平均点差が生じた場合、または②15点差以上の平均点差が生じ、かつ段階表示の区分点差が20点以上生じた場合に、これが試験問題の難易差に基づくものと認められれば、得点調整することになっている。
これに照らせば、今回テストで20点以上の平均点差は、旧課程科目が設定されていない理科など同一教科の科目間を含め、出ていない。
得点調整を行うかどうかは、大学入試センターが24日に発表することになっている。