【クーパーズタウン(米ニューヨーク州)=平沢祐】大リーグで数々の金字塔を打ち立てた日本のレジェンドが、新たな勲章を手にした。日米通算4367安打を誇るイチロー(本名・鈴木一朗)さん(51)が21日、日本人選手として初めて米国野球殿堂入りを果たした。満票にはわずか1票届かなかったものの、メジャーで築き上げた実績が傑出したものであることが改めて証明された。
オンライン記者会見に臨んだイチローさんは、「まず妻に感謝の気持ちを伝えたい」と弓子さんへの思いを語った。恩師である元オリックス監督の仰木彬さん(故人)の名前も挙げ、「仰木監督の存在がなければ、片仮名のイチローにもならなかったし、人にこれだけ知ってもらうこともなかったと思う」と話した。
2000年オフにプロ野球、オリックスからマリナーズに移籍。04年に262安打を放ってシーズン最多安打の大リーグ記録を84年ぶりに塗り替え、通算19年で3089安打を積み重ねるなど数々の記録を残してきた。大リーグに挑戦する時点では「地球上の一人も想像していなかったでしょう」(イチローさん)という殿堂入り。「選手としての評価という意味ではこれが最も大きいもの」とその重みをかみしめつつ、「過去への称賛なので、今をどう生きるかということを考えていきたい」と力を込めた。
米国野球殿堂入りを果たし、喜びを語るイチローさん=帯津智昭撮影
【シアトル=帯津智昭】イチローさんはオンライン記者会見後、米シアトルにあるマリナーズの本拠地球場でも会見を行った。
白いTシャツに紺のジャケット姿で会見に臨んだイチローさんは一言ずつかみしめるように語り、殿堂入りを伝える電話を待っている際の心境にも触れた。「(予定時刻を過ぎて)電話が鳴らなかった時、すごく不安になった。実際に電話がかかってきて、もうほっとしたという気持ちの方が強かった」と冗談めかして集まった日米の記者を笑わせた。