1月23日未明、福島県檜枝岐村で震度5弱の地震が観測された。ケガ人は確認されていないが、檜枝岐村では1月21日から23日夕方までに震度1以上を観測した地震は47回に上っている。積雪は1メートルを超えていて、地震だけでなく雪による被害にも注意が必要だ。
2~3日は同程度の地震に注意
1月23日午前2時49分、福島県会津を震源とする地震が発生した。地震の規模を示すマグニチュードは5.2で、檜枝岐村で震度5弱、只見町と南会津町などで震度3を観測した。
2025年1月23日午前2時49分ごろに発生した地震の震度分布
この記事の画像(8枚)福島地方気象台の大和田淳地震津波防災官は「揺れの強かった地域では落雪や崖崩れなどに注意。今後1週間程度、特に2~3日は同程度の地震の発生に注意をしてください」と呼びかける。
観測開始以来 初の震度5以上
檜枝岐村で震度5以上を観測するのは2001年12月の観測開始以来初めてだ。村民は「こんな大きな地震は初めてというか、なかった」「とにかく怖かった。また起きるかなと思って、避難の準備をしてきた」と話す。
1月21日の午前5時頃から地震が活発になっている檜枝岐村。1月23日午後5時までに震度1以上の地震は47回観測されている。
雪崩を心配する村民
相次ぐ地震に、備えを急いだという星久子さん。村の積雪は1メートルを超えていて、自宅裏の雪が崩れないか心配していた。「避難と言っても、歳をとっているから人の手を借りないと」と話した。
自宅の裏は山 1m以上積もった雪が崩れてこないか心配する星さん
家の耐震も心配
村民の間で広がる不安は雪崩だけではなく、耐震化率の低さも。村内の住宅の耐震化率は、約7割で、村が目標とする8割に届いていない。
檜枝岐村・産業建設課の井上宏司さんは「これまで地震が少ない方ではあったと思う。こういった大きな地震があると、村民の皆さんの不安につながるのでは」と話す。
村は耐震診断の際に、費用の一部を補助するなど支援を設けていて、周知を図っていきたいとしている。
群発地震と言っていい活動
檜枝岐村では、1月21日は午前を中心に8回、22日も午前中に5回、あわせて13回の地震があったのちに、23日には震度5弱の地震が発生した。
23日の強い地震について、東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授は「一連の活動だと考えられ、群発地震と言って良いくらいの活動」としている。
火山付近の群発地震はよくある
また遠田教授は「燧ケ岳という活火山に割と近いところで起きた地震。火山の近くでこういった群発地震はよくあること」と話す。
群馬県との県境にある檜枝岐村の活火山・燧ケ岳。遠田教授は「火山は地面を割るので、亀裂が多い。小さい短めの活断層とか、地中に埋もれているもっと小さい断層がたくさんある」と説明する。火山周辺の地震は、震源が極端に浅いことが特徴で、今回の地震の震源は深さ4キロだった。
局所的な揺れに注意
今後、注意すべきは「局所的な大きな揺れ」だという。
「地下には見えない断層が無数にあり、そういう断層が活動すると、きょうの地震より若干大きめの地震は起きてしまう。極端に大きい地震が起きる可能性は低いと思うが、それでも震度6弱くらいは常に考えておかないといけない」と遠田教授は話した。
今回の地震が火山活動の活発化によるものかは、わからないということだが、冬場の地震は雪崩や屋根からの落雪、暖房器具による火災、停電や村の孤立リスクなどに注意してほしい。改めて備蓄の確認を。
(福島テレビ)