西嶋広美翻訳者(韓国語)/フリーライター
ボクシンググローブのイメージ(筆者撮影)
24日午後、有明アリーナ(東京都江東区)にてボクシングの「世界スーパーバンタム級4団体統一世界王者防衛戦」がおこなわれます。今回、統一王者の井上尚弥選手(31=大橋ジム)に挑むのが、韓国人のキム・イェジュン(金藝俊)選手(32=KOREAN BOXING CLUB)ということで、ボクシングファンの間で密かに注目を浴びています。
同試合は当初、先月24日に予定されていましたが、挑戦者のサム・グッドマン選手(26=オーストラリア/同級1位)の負傷によって一度延期に。さらに、年明けの左目上裂傷再発によって棄権したことから急きょ、今月11日にキム選手に変更されることが発表されました。
リングのイメージ画像
キム選手は現WBO(世界ボクシング機構)世界同級11位。2014年4月WBC(世界ボクシング評議会)ユース・スーパーバンタム級王座、2015年3月IBF(国際ボクシング連盟)アジア同級王座(3度防衛)、直近では2024年5月WBOオリエンタル(東洋)同級王座を獲得しています。戦績は25戦21勝(13KO)2敗2分け、KOでの負けなし。日本人選手には7戦無敗で、「日本人キラー」とも呼ばれているようです。なお、韓国人が世界戦の舞台に立つのは、WBCミニマム級タイトルマッチに臨んだペ・ヨンギル(裵永吉)選手(45)以来、約9年ぶりのことだそうで、SNS上でも盛り上がりを見せています。
一方、対戦相手の井上選手の戦績は28戦全勝(25KO)です。「(キム選手の)勝率5%」と報じる韓国メディアもありますが、果たして……。
■元日本スーパーライト級王者が見どころを語る
日本第40代スーパーライト級王者で、現在、ユーチューバーとしても活躍する細川バレンタインさん(43)に“井上尚弥VSキム・イェジュン戦の見どころ”を聞きました。
現役時代の細川バレンタインさん(本人提供)
まず、試合の2週間前になってキム選手が代役に決まったことについて、「大橋ジムは韓国のプロモーション会社とボクシングの興行を開催していて、深いつながりがあるのだと思います」とし、「グッドマン選手が棄権したことで、井上選手の試合に向けた準備期間も変化するわけです。その準備期間がどのくらい必要かによって相手の強さを変えないと、余計なリスクを負うことになります。井上選手側はそのリスクを考慮した上で、自身にとってベストな相手を選んだのでしょう」と私見を述べました。
自身も過去に、韓国のキム・ミヌク(金民旭)選手(38)と東洋太平洋タイトルマッチを戦った経験があるという細川さん。韓国人選手の特徴として「打たれ強さと身体の強さ」を挙げました。ただ、キム(・イェジュン)選手に関しては「彼の映像を見る限り、決して弱くはありませんが、ガードが低くてスピードもなく、世界の上位と戦えるようなレベルではない。日本ランキング上位の選手にも負けるくらいの実力に見えます」と評価。
これらから総合的に、「井上選手のスピードがあって精度の高いパンチに、キム選手がどのくらい耐えられるのかが見ものです。キム選手はすごく打たれ強いと思うので、そこは楽しみ!」と観戦ポイントを教えてくれました。
ボクシングの知識がない私(筆者)でも、井上選手の強さは知っています。キム選手は今後、「あの井上尚弥と戦ったボクサー」との異名をとることになるでしょう。韓国で日韓戦は、どんな競技においても注目度がアップする傾向にあり、私も個人的に気になっています。
なお、同対戦は、日本ではNTTドコモが提供する定額制動画配信サービス「Lemino」で独占ライブ配信されます。
“韓国歴” 30年以上の翻訳者兼ライターです。長年の翻訳・取材経験などを生かし、さまざまな視点から韓国の記事を執筆中!
ぜひ、プロフィールからフォローしていただけるとうれしいです♪
翻訳者(韓国語)/フリーライター
小学生の頃から韓国が大好き!“韓国歴”は30年以上。神田外語大学韓国語学科卒(在学中「韓国外国語大学校」に交換留学)。大学卒業後は約18年間に渡り、韓流ポータルサイトのニュース記事(芸能・政治・経済・社会・スポーツ・北朝鮮)翻訳&コンテンツ企画業務に従事。インタビューや取材記事なども多数執筆。現在はフリーランスの翻訳者&執筆家(writer)として活動しています。