米鉄鋼会社クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は13日、日本を「悪」と呼んだ上で、USスチール買収に再び乗り出す考えを示した。
日本製鉄による141億ドル(約2兆2200億円)規模のUSスチール買収計画について、バイデン米大統領は3日、国家安全保障上の懸念を理由に阻止する決定を下した。クリフスは2023年にUSスチールの売却入札に参加し日鉄に競り負けた経緯がある。
ゴンカルベスCEOは、中国が日本から鉄鋼のダンピング(不当廉売)や補助の方法を学んだと主張。中国は悪いが「日本はさらに悪い。ずっと悪い」と語った。ペンシルベニア州ピッツバーグで記者会見を開いた。
ゴンカルベスCEOは、クリフスがUSスチールへの買収提案を検討しているとした一方、同業ニューコアと組んで買収する可能性を報じられたことについてはコメントを控えた。また日鉄が正式に買収を断念した場合、デットファイナンスによる資金調達を通じたディールに取り組む考えを示した。
日鉄とUSスチールは先週、買収実現に向けた最後の取り組みの一環としてゴンカルベス氏を提訴。同氏がクリフスによるUSスチール買収の可能性を高めるため反競争的かつ違法な行為に関与したと訴えている。対米外国投資委員会(CFIUS)は、両社が合併計画を破棄する期限を6月18日まで延長することを承認した。
ゴンカルベス氏の過激な発言は、トランプ次期米大統領の関心を引く狙いがあるように見える。同氏は「アメリカ・ファースト」というフレーズを繰り返し使用。他国は米国を食い物にしており「われわれの血を吸うのをやめさせる必要がある」と主張した。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、クリフスは、同業ニューコアと協力してUSスチールを買収することを検討している。
関係者によると、クリフスがUSスチールの大半を取得し、ニューコアが「ミニミル」と呼ばれる資産を取得する内容を検討中だという。最終決定は下されておらず、両社はまだこの取引を断念する可能性もあるという。
米経済専門局CNBCはクリフスがUSスチール全体を現金で買収し、その後にUSスチール傘下のビッグリバー・スチールをニューコアに売却する案が浮上していると伝えていた。
日鉄は報道を受けて発表した声明で、ゴンカルベス氏の提案は「日鉄の計画の範囲と規模に匹敵し得ない」と述べた。また「USスチールが事業を展開している地域の皆様のために戦い続ける」とした。
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日鉄とUSスチールが提訴-買収阻止でバイデン氏「不当介入」と主張
原題:Cliffs CEO Rips ‘Evil’ Japan and Doubles Down on America First(抜粋)