【解説】 米航空機衝突、どんな原因が考えられるのか 「最も管理された」空域(BBC News) – Yahoo!ニュース

【解説】 米航空機衝突、どんな原因が考えられるのか 「最も管理された」空域

米首都ワシントンの空港付近で旅客機と軍用ヘリコプターが空中衝突し、合わせて67人の搭乗者全員の生存が絶望視されている。「世界で最も管理された空域」とも呼ばれる場所での惨事は、どんな原因が考えられるのか。 乗客60人と乗員4人が乗ったアメリカン航空機と、3人が搭乗していた米陸軍のヘリ「ブラック・ホーク」は29日夜、レーガン・ワシントン・ナショナル空港付近の上空で衝突。両機は冷たいポトマック川に墜落した。 事故調査を中心的に進める国家運輸安全委員会(NTSB)は、30日以内に予備報告を発表するとしている。 30日には、飛行記録を収めた「ブラックボックス」が回収されたと、BBCがアメリカで提携するCBSが報じた。事故原因の解明が進むことが期待されている。 以下、現時点で原因となった可能性のあることを挙げる。 ■狭く混雑した空域 首都ワシントンの上空は、安全保障上の理由などから航空機の飛行が厳しく制限されている。民間機は、国防総省やホワイトハウス、歴史的建造物などの上を飛ぶことができない。 一方で、ここを飛ぶ航空機は数多い。商業機に加え、個人の飛行機やヘリもいる。政府高官や政治家らが乗っていることも多い。 「(空港への)出入り口は本当に狭く、混雑も激しく、通常以外の航空機も飛んでいる。非常に限られた空間に多くの航空機が存在している」。レーガン空港に絡む訴訟を多数扱ってきた航空専門の弁護士ジム・ブラクル氏は、そう話す。 元NTSB航空事故調査官のジェフ・グゼッティ氏は今回の事故について、発生直前に軍ヘリが管制塔と交信し、アメリカン航空機の存在を知らされていたようだと指摘。 「ヘリのパイロットは旅客機を目視で確認したとし、それから離れようとしていたことがうかがえる。そしてまもなく事故が起きた。このことからは、ヘリのパイロットが何を見ていたのかをめぐって多くの疑問が生じるだろう」とBBCに話した。 ■ヘリ用ゾーン NTSBの理事会メンバー5人の1人、トッド・インマン氏は、ワシントンの上空について、ヘリが飛行できる特定ゾーンがある点で「独特な環境」だと説明。 「多くのヘリがここに降りてくる。そのため、とても明確に定められたシステムが存在する」と話した。 前出のブラクル弁護士は、「ヘリコプターのルートには、(レーガン空港の)最終進入路を横切るものもある。しかも高度は200フィート(約60メートル)以下だ」と指摘。 「異なる航空機を、ほとんど引き離さずに、とても狭い空間に置いている」、「飛ぶのが少し低すぎたり、少し高すぎたりすれば、別の航空機と同じ位置に来ることになる」と述べた。 ■複数の航空システム 航空コンサルタントのフィリップ・バターワース=ヘイズ氏は、今回の事故を、民間と軍用などの「異なる航空システムの結節点」で起きたものだとした。 「ここは三つか四つの航空システムの境界になっている。そうした境界は、事故は最も起こりやすい場所だ」 一方、レーガン空港だけが特に危険というわけではないとの指摘もある。 イギリスの航空専門家ジョン・ストリックランド氏は、ワシントンにはワシントン・ナショナル空港とワシントン・ダレス空港があり、少し離れたところにはボルティモア空港もあると説明。さらに、ロンドンにはヒースロー、スタンステッド、ガトウィック、ロンドン・シティーの各空港があるとし、複数の航空システムが近接している場所は珍しくないとした。 「必要なのは、航空機を近づけないようにする航行管理だ」と、ストリックランド氏は述べた。 ■多重ミス 前出の航空コンサルタントのバターワース=ヘイズ氏は、今回のような空中衝突が発生するのは、多くのことがうまくいかなかった場合だけだと話す。 同氏によると、軍用ヘリが民間の空域を飛行するには、その位置を周囲の航空機に知らせるトランスポンダを装備している必要がある。そのため、両機は互いを目視できたはずだという。 また、航空管制からの指示もあったはずだと同氏は指摘。さらに、それぞれの航空機には安全装置が備わっていたはずだとし、こう述べた。 「今回は二つの異なるシステムがあった。その両方がこれらの航空機を離しておくはずだった」 BBCが入手した音声では、事故の直前にヘリが空港の航空管制官と連絡を取っていたことがうかがえる。ヘリは旅客機を「視認」しているか尋ねられ、旅客機の「後方を通過」するよう求められていた。 CBSが航空管制関係者から入手した管制官のレーダー映像には、事故機とみられる2機がはっきりと映っていた。 ■軍ヘリの行動 航空コンサルタントのバターワース=ヘイズ氏は、旅客機と衝突した軍ヘリについて、「新たなシステムや装備の訓練だったにしろ、パイロットがヘリのどのシステムを作動させていたのか、すべての安全システムを搭載していたのか、新たな手順や新たなルートを試していたのか、それらを知る必要がある」と話す。 元米空軍大佐セドリック・レイトン氏は、この種の軍用機がこの地域で夜間訓練を行うのは通常のことだとCNNに説明。パイロットが暗闇での飛行に必要な機器の使い方を習熟するためだと語った。 ピート・ヘグセス国防長官は、今回のヘリの乗組員は「かなり経験豊富」で、毎年恒例の夜間飛行訓練に参加していたと説明した。 バターワース=ヘイズ氏も、ワシントンのような混雑した空域で訓練できるのは経験を積んだパイロットだけだと述べた。 (英語記事 In one of the ‘most controlled’ airspaces, how could crash happen? )

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