森永卓郎氏の約12万点のコレクションを展示する私設博物館「B宝館」は次男に託したという(本人提供)
1月28日に亡くなった経済アナリストの森永卓郎さん(享年67)。2023年11月にすい臓がんのステージIVと診断(その後、原発不明がんと診断)され、「余命4か月」を告げられてからも亡くなる直前まで執筆活動や番組出演をはじめ数多くの仕事をこなしてきた。週刊ポスト1月27日発売号では、森永さんの独占手記を6ページにわたって掲載している。コレクターとしても知られる森永さんは、どのような方法で物の整理を進めているたのか、次のように明かしてくれていた。
三途の川から生還した2024年の初頭以降、金融資産だけでなく「物」の整理も進めてきた。物を処分する際、「今は使っていないが、いつか必要になるかも……」と思うものは基本的にバッサリと捨てていい。いつか、が来る可能性はまずないからだ。まず手をつけたのは、獨協大学の研究室に溢れる数千冊の書籍だ。 「欲しい本があれば好きなだけ持ち帰って」 そう学生に声をかけると2割ほど減り、残りは遺品整理業者に依頼して7月に一気に処分した。書籍は売却しやすいため、それを勘案すると処分費用は比較的安かった。2トントラックの荷台が満載になる量で10万円足らずの費用負担だった。20台ほどあったパソコンも処分した。パソコンは内部の基盤に金を多く含むため、専門のリサイクル業者が無償で引き取ってくれた。 頭を悩ませたのが、おもちゃやミニカー、お菓子のおまけなど60種類以上、約12万点のコレクションを展示する私設博物館「B宝館」の取り扱いだ。完全に趣味で運営する博物館で世界唯一のミュージアムだと自負しているが、何年か前にテレビ番組が鑑定士と弁護士を連れてきて鑑定したところ、産業廃棄物の処理費用を勘案した鑑定結果は「ゼロ円」だった。
鑑定結果に納得できなかったが、その弁護士からは「相続税がかからなくてよかったじゃないですか」と言われた。私としては100年後にはB宝館のゴミが宝に変わり、世界遺産に登録されることを信じている。結局、家族の中で唯一私のコレクションに理解を示した次男が継承することが決まり、コレクターとしてのけじめがついたと安堵した。どうしても捨てられない大切なものは、「人に譲る」という選択肢があることを知ってほしい。 仕事関係では私ががんになって開けたスケジュールの穴を長男の康平が埋めてくれた。「世襲ではないか」と言われたが今ではメディア出演も増え、経済アナリストとしての事業継承はスムーズに進んだと思う。 * * * 現在、マネーポストWEBでは、関連記事《【独占手記・全文公開】森永卓郎氏、がんステージIV「余命4か月」宣告でも精力的に生きられる秘訣 お金、健康、人間関係の整理…常識に囚われない心得を明かす》にて、森永さんの手記を全文公開している。資産整理、治療の様子、気の持ちよう、そして最愛の家族も含めた人間関係についてまで、がん宣告されてから亡くなる直前まで、森永さんがたどりついた考え方を詳細にレポートしている。 ※週刊ポスト2025年2月7日号