アメリカのトランプ大統領は、ICC=国際刑事裁判所がガザ地区での戦闘をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相などに逮捕状を出し権力を乱用したなどとして、ICCの職員などへの制裁を可能にする大統領令に署名しました。
オランダのハーグにあるICC=国際刑事裁判所は去年11月、ガザ地区での戦闘をめぐりイスラエルのネタニヤフ首相などに戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を出しました。これについてアメリカのトランプ大統領は6日、ICCが正当な根拠なく逮捕状を出し権力を乱用したなどとして、ICCの職員などへの制裁を可能にする大統領令に署名しました。大統領令では「アメリカとイスラエルはICCの加盟国ではなく、ICCに管轄権はない」とし、捜査に関わったICCの職員やその家族らが資産の凍結や入国の制限などの制裁の対象になるとしています。ICCをめぐっては、アメリカ議会下院が先月、制裁を科す法案を賛成多数で可決しましたが、上院では民主党のほとんどの議員が反対に回り可決しませんでした。トランプ大統領は大統領令で「アメリカの安全保障と外交政策に対する異例かつ異常な脅威であり、対処するために国家の非常事態を宣言する」としています。
ICCは日本やパレスチナ暫定自治政府など125の国や地域が加盟し、所長は日本人の赤根智子氏がつとめています。
鈴木法務大臣は記者会見で「他国であるアメリカの大統領令であり、われわれとして何かコメントをすることではないが、ICCが国際司法や法の支配の観点から果たす役割は極めて大きいと考えている。日本としてもICCの活動を引き続き支援していきたい」と述べました。