「エレファント・マン」の一場面(ゲッティ=共同)
78歳で死去した米映画監督のデビッド・リンチさんは、19世紀末の英国を舞台に奇形に生まれついた男を描いた出世作「エレファント・マン」(1980年)などにより、日本人の記憶にも長くとどめられている。同作品は国内では81年に公開され、その年の興行収入トップを記録。その年にデビューしたバンドの名前の由来にもなった。
エレファント・マンは、19世紀末のロンドンを舞台に、実在の人物を基にした作品。肥大化した頭のため見せ物として扱われていた青年が、アンソニー・ホプキンスさん(87)演じる外科医と出会うことで豊かな感受性を開花させていく。
「僕は動物じゃない。僕は人間なんだ」と叫ぶシーンは、人々の心に長く刻まれている。
2017年5月、フランスのカンヌ国際映画祭に出席したデビッド・リンチさん(ロイター=共同)
同作品は、米アカデミー賞で作品賞や監督賞など8部門で候補になり、英国アカデミー賞では作品賞など3部門を獲得するなど、全世界で高く評価された。日本でも大評判となり、公開と同じ年にデビューしたロックバンド「エレファントカシマシ」のバンド名も、同作品から取られているという。
公開40年の令和元(2020)年には「4K修復版」が国内で公開されるなど、根強い人気を保っている。