イオンのフードコートの飲食店が全て撤退で飲食できない現象…なぜ発生?

イオンモールの店舗(「Wikipedia」より)/記事内容とは無関係です

GMS(総合スーパー)国内最大手で全国展開する「イオン」の一部店舗で、フードコートに出店するテナントがすべて撤退してゼロとなる現象が出現しているとSNS上で話題となっている。フードコートがガラガラになっているとして店名があげられているある店舗に取材したところ、「現在はフードコートで営業している店舗はありません」とのことであった。なぜこのような現象が生じるのか。専門家は「それなりに賃料は高いので、来店客数が少なくて採算が取れないため撤退したのではないか」と指摘する。

全国に「イオン」をはじめとするGMS(総合スーパー)を約500店舗、「マックスバリュ」「マルエツ」などの食品スーパーを約2200店舗、「イオンモール」を164店舗(24年9月現在)、「まいばすけっと」などの小型店を約1100店舗、その他にもさまざまなブランドの店舗を展開するイオングループ。年間売上高は9兆5535億円(2024年2月期)に上り、グループ全体の従業員数は約57万人、「イオン」「イオンスタイル」などを運営するイオンリテールだけで正社員数は約2万人、時間給社員は約9万人に上る巨大企業だ。

そんなイオングループの中核ブランドである「イオン」のフードコートをめぐり前述のような現象が起きているとして、SNS上では以下のとおり話題となっている。 <フードコートの店がだんだん閉店していって、ついに残っていた最後のお店が閉店してしまった> <フードコートだけども食べ物が売ってない>

<イオン自身のショッピングセンターでもフードコート壊滅はありがち>

契約更新のタイミングで更新せずに退店

フードコートとは、スーパーやモール、ショッピングセンターにとって、どのような存在なのか。流通ジャーナリストの西川立一氏はいう。

「来店客が飲食できるスペースを設けることによって、お客が目的の買い物を済ませてすぐ帰ってしまうという行動を抑制して、店舗内における滞留時間を延ばすという効果が期待できます。以前はレストラン街がお馴染みの光景でしたが、ファストフードチェーンが増えてきたり、レストラン街よりも小さな面積でも設置しやすいといった理由もあり、レストラン街に代わってフードコートが増えてきたという経緯があります。例えば家族4人連れ客の場合、レストラン街だと家族のなかで食べたいジャンルが違うと誰かが我慢をしなければなりませんが、フードコートだと各々が食べたいジャンルの料理を購入して、それを持ち寄って一緒に食べられるというメリットもあります。子どもの遊び場を作ったりという取り組みも、やりやすくなります」

では、なぜフードコートのテナントがすべて撤退してゼロになるという事態が生じるのだろうか。

「要は、商業施設の集客力がやや弱くなり、来店客が減って採算が取れなくなりテナントの経営が成り立たないということで、契約更新のタイミングで更新せずに退店していったということではないでしょうか。テナントが商業施設側に支払う賃料もそれなりの金額ですが、施設側が地元のお店を入れたいという理由からテナント料を優遇するというケースはあります。契約期間は1~5年とさまざまですが、更新のタイミングでテナント側が退店すると申し入れすれば、施設側は受け入れざるを得ません」

(文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト)

イオンのフードコートで書道する高齢者も?

当サイトは2024年10月28日付記事『イオンのフードコート、書道する高齢者も出現で無法地帯化?店舗の対応方法』でイオンのフードコートが多くのお客に愛されている様子を伝えていたが、以下に再掲載する。

――以下、再掲載――

イオンのフードコートが“無法地帯化”していると話題になっている。特に飲食に利用すべきテーブルで、勉強する高校生のほか、なかには書道をする老人もいるという。そんな状態を、店舗の運営スタッフは黙認しているのか、もしくはなんらかの対処をするのか。イオンモールの広報部に聞いた。

フードコートはオープンスペースで誰でも気軽に利用できることが良さではあるが、その半面、飲食エリアの秩序は利用客のモラルに委ねられる部分が大きい。多くの店舗が並び、グループで利用する際にも、お客はそれぞれが好きな店の好きなメニューを頼んで、同じテーブルで食事ができるというメリットがあるが、通常の飲食店と違い誰でもテーブルを利用できることから、飲食物を購入せずに読書や勉強、ゲームをしている人などが散見され、特に混雑時には問題となることがある。

これはイオンに限らず、ある程度の規模の商業施設に備えられているフードコートでは、どこでも起きうる光景だろう。だが、今回イオンが注目されているのは、そのマナー違反が度を越しているためだ。X上に10月21日、こう投稿された。

「地元にイオンが二店舗ある。片方はフードコートで高校生が自習する無法地帯、もう片方はフードコートで老人が書道してる本物の無法地帯」

フードコートで高校生が勉強するのは、望ましくはないが、珍しくもない。飲食をするべき場所として提供されているテーブルを、飲食以外に使用するのは、他人に迷惑をかけうることを認識すべきだ。それが書道となると、異様さが際立つ。なぜイオンなのか。なぜフードコートなのか。具体的な店舗名は明らかになっていないが、投稿者は「北摂」在住と明らかにしていることから、大阪か兵庫の店舗である可能性が高い。

店舗がどこであるかはさておき、このような事態が起こるのは、フードコートという形式が要因であるのは間違いない。通常の飲食店と違い、何も購入しなくても席に座ることができ、特定の店舗が場所の管理をしているわけでもないため、責任の所在がわかりにくいといった事情があるからだ。そこで、イオンモールの広報部に、食事以外でフードコートを利用している客に対し、どのように接しているのかについて、話を聞いた。

――長時間占有されている方に対し、貴社スタッフの方が声掛けしたり、席をあけるように促すことはあるのでしょうか。また、別のお客から席を譲らせるように依頼された場合には、どのように対応なさるのでしょうか。

「各モールにおいて、適宜フードコートの状況を巡回しながら、お声がけをさせていただいております。お客さまからご要望があった場合も、同様に対応させていただいております」

――イオンモールさんとしては、イオンモールウォーキングを推奨されるなど、気軽に足を運んでもらうという施策を取っていらっしゃるなか、長時間にわたって席を占有される方への対応が難しい部分もあるかと思います。たとえば、食事などを購入していない方がフードコートの席を勉強など利用している場合でも、特に問題はないのでしょうか。

「基本は、飲食店においてメニューをご注文いただいた方がご利用いただくためのスペースとなります。食事以外等でご利用の場合は、上記と同様に対応させていただいております」

多くの店舗が入居するショッピングモールは、週末や休日ともなると激しく混雑する店舗が多い。そのなかで、買い物中に一息ついたり、ランチやおやつタイムを楽しんだりするために、フードコートを利用する人も多いだろう。だが、フードコートはえてして席の奪い合いになりがちだ。そんなときに勉強など食事以外で長時間、席を占拠していると、大きな迷惑である。あくまでも、飲食をする場であるということを認識して利用してもらいたい。

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