アメリカのトランプ大統領はICC=国際刑事裁判所がアメリカやイスラエルを不当に標的にしているとして、関係者に制裁を科す大統領令に署名しました。 ICCは去年11月、パレスチナ自治区ガザでの軍事攻撃をめぐってイスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に対し、戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を出しました。 アメリカのトランプ大統領は6日署名した大統領令でこれを「権力の濫用」だと指摘。ICCに加盟していないアメリカとイスラエルに対する管轄権が無いにもかかわらず不当に標的にしているとして、捜査に関係したICCの職員の資産を凍結したり入国ビザの発給を制限したりするとしています。 アメリカでは議会でも先月、下院でICCの職員らに制裁を科す法案が可決されましたが、上院は通過しませんでした。 ICCの赤根智子所長は去年12月、「国連安全保障理事会の常任理事国から、まるでテロ組織であるかのように経済制裁をちらつかされている」と訴え、「ICCの存続が脅かされている」と危機感を示しています。 トランプ大統領がICC関係者に制裁を科す大統領令に署名したことに対し、ICCは7日、声明を発表し、「ICC職員の独立した公平な司法活動を妨害しようとするものだ」として非難しました。 そのうえで「ICCはその職員を断固として支持し、世界中のあらゆる残虐行為の犠牲となった罪のない人々に対し、正義と希望をもたらし続けることを誓う」と強調。「世界中のすべての国々に対し正義と基本的人権を守るため」として結束するよう呼びかけました。
ICCには日本やパレスチナ自治政府など125の国や地域が加盟していますが、アメリカとイスラエルのほか、ロシアや中国は加盟していません。