直木賞に元富山大学助教の伊与原新さんが選ばれる|NHK 富山県のニュース

第172回芥川賞と直木賞の選考会が、15日、東京で開かれ、直木賞には以前富山大学で助教を務めていた伊与原新さんの「藍を継ぐ海」が選ばれました。 直木賞の受賞が決まった伊与原新さんは、大阪・吹田市生まれの52歳。 東京大学大学院で地球惑星科学を専攻し、2003年から2011年まで富山大学で助教を務めていたときに小説を書き始めました。 伊与原さんは去年9月、NHK富山放送局の取材で小説を書き始めたきっかけについて、「あるとき研究がうまくいかないなという時期がありまして、そんなときにミステリー小説に逃避していたというか、よく読んでいた時代がありました。自分でもミステリーが書けるんじゃないかと」話していました。 当時、富山大学で研究を続ける一方で小説を書き始めた伊与原さん。富山で過ごした時間については、「本当に本当に大事ですね。デビューした当時というのは研究の世界から離れてどっちかというと普通のミステリー作家になろうと思っていたんですね。いまはどっちかというと、こっちに戻ってきているというか、むしろ科学の世界とか研究者だったころの世界に近づいているなという感じが最近あって、そういう意味ではとっても富山大学の時代の経験とか人脈とか、人たちとのふれあいが大事だったなと思います」と話していました。 2010年に「お台場アイランドベイビー」で 横溝正史ミステリ大賞を受賞して作家デビューすると、NHKでドラマ化された「宙(そら)わたる教室」など、科学をテーマにしたミステリーや 青春小説を次々と発表し、直木賞は2回目の候補での受賞となりました。 受賞作の「藍を継ぐ海」は、日本各地を舞台に その土地特有の歴史や自然などをモチーフとした 短編集です。 徳島県の海辺の町でこっそりと ウミガメを育てようとする女子中学生が主人公の表題作や山口県の離島で地質調査を行う女性と焼き物に使う土を探し求める男性との交流を描いた物語などが 自然科学に関する専門的な描写とともにミステリー仕立てで描かれています。

ページの先頭へ戻る

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *