【ワシントン=太田晶久、池田慶太】石破首相は世界が注目するトランプ米大統領との共同記者会見で、友好ムードの演出に成功した。当意即妙の応答で笑顔を引き出し、トランプ氏も「ディール(取引)」を抑えて首相を持ち上げるなど、会見は和やかに進んだ。
ホワイトハウスに到着しトランプ米大統領(左)に出迎えられる石破首相(7日、ワシントンで)=須藤菜々子撮影
首相は記者団からトランプ氏の印象を問われると、「テレビで見ると、声高でかなり個性強烈で、恐ろしい方だという印象がなかったわけではない」と切り出し、会場の笑いを誘った。「実際にお目にかかると、誠実で強い使命感を持たれた方だと感じた」と続けると、トランプ氏は片方の眉毛を上げて笑顔を見せた。
米側の記者から米国が日本に追加関税を課した場合の報復措置の有無を問われると、「仮定の質問にはお答えしかねるというのが日本の定番の国会答弁だ」とおどけてかわし、トランプ氏は笑いながら「とてもいい答えだ」と繰り返した。
共同記者会見で記念写真を見せるトランプ米大統領(右)と石破首相(7日、ワシントンのホワイトハウスで)=須藤菜々子撮影
トランプ氏は会見の冒頭、大統領執務室で撮影した両首脳の写真と自らの写真集を首相に手渡し、「私が彼ほどハンサムならよかったが」とジョークを飛ばした。蜜月関係を築いた安倍晋三・元首相を引き合いに、「石破首相は偉大な首相になるだろう。もうちょっと弱い人の方が都合が良かったが、いつも日本の首相は強い」と持ち上げた。
トランプ氏は日本側の投資拡大の方針などにたびたび賛辞を示し、初の首脳会談にも満足した様子を見せた。もっとも、最後まで首相を「シゲル」と呼ぶことはなく、個人的な信頼関係の構築には時間がかかる様子も垣間見えた。