立花孝志氏の竹内元県議巡る投稿は虚偽だった?警察が完全否定、今後の捜査は #専門家のまとめ(前田恒彦) – エキスパート – Yahoo!ニュース

前田恒彦元特捜部主任検事

(写真:Motoo Naka/アフロ)

立花孝志氏の竹内英明・元兵庫県議を巡るネット上での動画投稿が話題となっています。「何らかの犯罪で任意の取調べを受けていたことは間違いない」「1月20日に逮捕すると県警は考えていたそうだが、それを苦に命を絶ったという情報が入っている」というものです。しかし、兵庫県警はこれらの事実を完全に否定しており、立花氏もすでに投稿を削除しています。現状や今後の捜査について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「竹内氏は(中略)選挙翌日に県議を辞職」「誹謗中傷はその後もやまず、19日に訃報が伝えられた後もなお続いている」

出典:集英社オンライン 2025/1/19(日)

「『警察から任意の取り調べを受けていた』『近く逮捕』といった内容も」「県警幹部は(中略)『そんな事実はない』と否定」

出典:朝日新聞デジタル 2025/1/19(日)

「兵庫県警の捜査関係者は(中略)『竹内氏に対して任意の事情聴取もしていないし、逮捕の予定もなかった』と否定」

出典:産経新聞 2025/1/19(日)

(担当記者)「警察幹部の間での立花氏に対する認識は“社会秩序を乱す者、法の網をくぐり抜ける者”とかなり厳しいものでした」

出典:デイリー新潮 2025/1/7(火)

エキスパートの補足・見解

被疑者として警察の取調べを受けていたとか、逮捕される予定だったといった事実は、社会的評価を著しく低下させ、名誉を毀損するものにほかなりません。それでも真実であれば罪に問われません。通常、名誉毀損罪は投稿内容の真偽を問わず成立しますが、死者に対する場合には例外的に虚偽でなければ罰せられない決まりだからです。しかし、兵庫県警によれば、立花氏の投稿は虚偽だったということになります。そうであれば、投稿を削除したか否かを問わず、立花氏は竹内氏に対する名誉毀損罪に問われることになります。ただし、具体的な資料や根拠に基づいて真実だと信じていた場合、虚偽性に対する故意がなかったとされます。立花氏が真実に間違いないと断言できるだけの十分な調査を尽くし、信憑性の高い根拠を得ていたのかが捜査の焦点となるでしょう。

なお、死者に対する名誉毀損罪も親告罪ですが、遺族の告訴があれば足ります。別件ですが、県警はすでに奥谷謙一・兵庫県議の告訴や被害届を受理し、奥谷氏に対する名誉毀損や脅迫などの容疑で立花氏の捜査を進めています。今回の件で竹内氏の遺族から告訴があれば、県警は併せて捜査を行い、送検することになります。(了)

前田恒彦

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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