米鉄鋼大手USスチール買収を巡り、日本製鉄に競り負けたクリーブランド・クリフスのゴンカルベス最高経営責任者(CEO)が13日、USスチールが本社を置くペンシルベニア州で記者会見し、同社買収に改めて意欲を示し「日本は邪悪だ」などと日鉄の買収計画を批判した。 この日、買収を再検討していることを明らかにしたクリフス。ゴンカルベス氏は詳細は明かさなかったが、「買収したい。計画がある」「我々は米国一丸となった解決策を持っている」などと意欲を前面に出した。一方、粗鋼生産量で中国勢が席巻している現状を踏まえ「日本は邪悪だ。中国以下だ。中国にいろいろなことを教えた。ダンピング(不当廉売)や過剰生産の方法だ」などと日本批判を展開。 さらに、買収禁止命令を出したバイデン大統領に理由の説明を求めた石破茂首相もやり玉に。「イシダ」と呼んで「日本の首相がだぞ!」と怒りを爆発。「同じことをトランプに言えるのか」とニヤリとすると、背後の星条旗をつかみながら「合衆国だぞ!」と絶叫。第2次世界大戦での日本の敗戦を念頭に「日本よ、注意しろよ。自分のことが分かってないな。1945年以降、何も学んでいないじゃないか」と激しい口調で話した。 ボルテージは上がりっぱなしで、バイデン氏らのほかに、買収阻止のため違法行為を行ったとしてゴンカルベス氏らを提訴した日鉄の橋本英二会長も攻撃。「私のことを悪党とかマフィアのボスだとか呼んでいるが、法廷で証明できなければ、無一文にし、家も車も奪う」と声を荒らげた。 米CNBCテレビによると、クリフスは電炉大手ニューコアと提携。クリフスが現金でUSスチールを買収後、同社傘下の電炉会社をニューコアに売却する計画。クリフスがUSスチールを買収すれば米国の反トラスト法(独占禁止法)に抵触する懸念があり、ニューコアへの電炉会社売却でそれを避ける狙いがあるとみられる。 USスチール買収を巡っては、日鉄が141億ドル、クリフスが70億ドルで競い、日鉄が競り勝った。再買収提示額も日鉄を大幅に下回る見通しで、日鉄は「ゴンカルベス氏は偏った固定観念に固執し続けている。彼の提案は日鉄の買収計画の範囲と規模に匹敵し得ない」として、一歩も引かない姿勢。USスチールは「同盟国である日本の人々に対するゴンカルベス氏の言葉による攻撃に非常に失望している」とコメントした。 日米両政府も巻き込み、さらに激化しそうな買収競争。長期化も指摘されており、シェアをさらに拡大しようとほくそ笑む中国の姿が目に浮かびそうだ。
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