将棋の西山朋佳女流三冠(白玲、女王、女流王将、29)は1月22日、棋士編入試験第5局で試験官の柵木幹太四段(26)に135手で敗戦。女性として初めての棋士編入を目指した西山女流三冠の挑戦は、通算2勝3敗で“不合格”となった。なお、受験基準を満たした場合は再受験が可能だが、「今後のことはいったん整理してから考えたい」とした。 【中継】西山女流三冠、終局後の表情(生中継) 史上初の“女性棋士”を目指し編入試験に挑んだ西山女流三冠の挑戦は、通算2勝3敗で幕を閉じた。運命の最終局では、西山女流三冠が得意戦法の「三間飛車」を志向。立ち上がりはやや苦しいものとなったが、中盤戦では強気に攻め込み先手陣へと果敢に迫った。 ねじり合いとなった中盤戦では激しい玉頭戦が繰り広げられ、柵木四段は難度の高い受けに回る展開に。西山女流三冠も流れを引き寄せるべく、必死に耐えて“剛腕”さく裂のチャンスをうかがった。飛車を活用できず苦しい時間が続いた西山女流三冠だが、気持ちは常に前へ。終盤で直線の攻め合いとなったが、柵木四段も鋭い踏み込みから正確な手を重ねてリードを拡大させていった。西山女流三冠も激戦の中で勝負手を連発。しかし思うように流れを引き戻すことができず、最後は静かに投了を告げた。 西山女流三冠は、開口一番に5人の試験官棋士へ「向き合ってくださったことにすごく感謝しています」とコメント。最終局については、「自分の中で意外な組み合わせもあり、思わしくない序盤にしてしまった。粘るような展開にして何かあるかなと思っていたが、良い手が見つけられなかったのか、飛車が悪形な分苦しい将棋だった」と振り返っていた。 現行制度で5人目の挑戦となった棋士編入試験は、昨年9月に開始。第1局で高橋佑二郎四段四段に勝利したもの、第2局の山川泰煕四段戦、第3局の上野裕寿四段戦で連敗した。それでも、後がなくなった第4局で宮嶋健太四段に勝利して望みをつなげたが、試験最終局で柵木四段に敗れ通算2勝3敗で不合格。史上初の「女性棋士」誕生とはならなかった。 将棋のプロは「棋士」と「女流棋士」が存在し、制度が異なる。棋士になるためには養成機関の奨励会を突破するか、編入試験の合格が条件となる。編入試験は2005年に特例として実施され、瀬川晶司・現六段が合格。翌2006年に制度化され、基準の「直近で10勝以上、勝率6割5分以上」を満たすと受験資格が付与される。試験は新人棋士5人と対局し3勝すればプロ入り、3敗した時点で不合格となる。西山女流三冠は、2024年7月に受験資格を獲得していた。 過去には今泉健司・現五段と折田翔吾・現五段、小山怜央・現四段の3人が受験し合格。女性初の受験者となった福間香奈女流五冠とともに、通算5人目の受験者となった西山女流三冠も不合格となった。 しかし、夢の扉は閉じられたわけではない。日本将棋連盟の規定では「公式戦において最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績を収めれば再受験が可能」と定められており、この規定を満たせば再受験は可能となる。終局後、西山女流三冠は「これまでは今日だけのことを考えていたので、今後のことはいったん整理してから考えたい」とコメントした。 女流のタイトル戦を戦う中で棋士との公式戦で白星を積み上げ、再びこの大勝負に挑むこととなるか。今後の西山女流三冠の選ぶ道にも注目が集まる。 (ABEMA/将棋チャンネルより)
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